ケアサービス、23年3月期通期の決算はコロナの影響を払拭し過去最高売上へ

株式会社ケアサービスの23年3月期の決算資料の写真 決算

ケアサービス<2425>は、5月15日に2023年3月期の通期(22年4月1日〜23年3月31日)の決算を発表し、売上高92億3700万円(前期比+3.0%)、営業利益4億3100万円(同+40.8%)、経常利益4億7500万円(同+45.3%)、当期純利益3億2300万円(同+68.5%)でした。

ここからはケアサービスの23年3月期通期の決算内容を解説していきます。

ケアサービスの事業内容(23年3月期通期)

株式会社ケアサービスは、在宅介護サービス事業とシニア向け総合サービス事業の2つの事業を柱としています。

在宅介護サービス事業では、介護(医療)保険制度に基づく通所介護サービス、訪問入浴サービス、訪 問介護サービス、訪問看護サービス、居宅介護支援サービス、小規模多機能型居宅介護サービス、福祉用具貸与及 び特定福祉用具販売、また、介護(医療)保険外サービスとして配色サービス、介護人材にかかる人材紹介サービスを提供しています。

また、シニア向け総合サービス事業では、葬儀社と提携を結び、湯灌サービス、CDCサービス(故人のお化粧と旅路の身支度を整えるサービス)、遺品整理やハウスクリーニングのサービスを提供しています。

「株式会社ケアサービス」の経営状況の全体的な概要については、以下のようにまとめられます。

  1. 2023年3月期の売上高は9,237百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益は431百万円(前年同期比40.8%増)、経常利益は475百万円(前年同期比45.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は323百万円(前年同期比68.5%増)となっています。
  2. 新型コロナウイルス感染症について感染症法の位置づけが5類に移行され、経営に与える影響は徐々に薄れていくと予想されています。一方で、ウクライナ危機に端を発した世界的な物価高に見舞われ、消費者の生活防衛意識はさらに強くなると想定されています。
  3. このような経営環境の中で、各事業で感染防止対策の推進は引き続き実施し、お客様が安心してご利用いただける体制を構築するとともに、事業のさらなる拡大を目指し、引き続き、国内外に向けて「介護からエンゼルケアまで」一貫したサービスの拡大を推進していくとのことです。
株式会社ケアサービスの23年3月期の決算概要の写真
株式会社ケアサービスの23年3月期の決算概要

ケアサービスの決算分析(23年3月期通期)

次に、株式会社ケアサービスの財務状況、業績予想、リスク要因、戦略的な視点からの分析を行います。

財務分析

「株式会社ケアサービス」の財務状況については、以下のようにまとめられます。

  1. 2023年3月期の総資産は3,510百万円で、純資産は2,316百万円でした。自己資本比率は66.0%で、1株当たり純資産は610.61円でした。
  2. 2023年3月期の営業活動によるキャッシュフローは443百万円で、投資活動によるキャッシュフローは△36百万円(支出超過)、財務活動によるキャッシュフローは△151百万円(支出超過)でした。これにより、現金及び現金同等物の期末残高は1,197百万円となりました。

ここから分かることは、自己資本比率が66%となっており、かなり良好な財務状況であると言えます。訪問介護サービスを中心に利用者の家にて介護を行うことから、施設などの固定資産を不要とする点が、この財務状況を生み出しているのだと推測します。

また、積極的なコストコントロールを行って、営業利益を高く生み出す工夫を行っていることが分かります。

株式会社ケアサービスの23年3月期の賃借対照表の写真
株式会社ケアサービスの23年3月期の賃借対照表
株式会社ケアサービスの23年3月期のコストコントロールの図
株式会社ケアサービスの23年3月期のコストコントロール要旨

業績予想と今後の戦略

「株式会社ケアサービス」の業績予想については、以下のようにまとめられます。

  1. 新型コロナウイルス感染症について感染症法の位置づけが5類に移行され、経営に与える影響は徐々に薄れていくと予想されています。一方で、ウクライナ危機に端を発した世界的な物価高に見舞われ、消費者の生活防衛意識はさらに強くなると想定されています。
  2. 今後の事業所の新規開設においては、在宅介護サービス事業ではデイサービス、居宅介護支援サービス、訪問入浴サービス、レンタル事業サービス等及び配食センターの新設を進めていく予定です。シニア向け総合サービス事業においては、エンゼルケア事業所の地域拡大を予定しています。
  3. 以上の結果、次期(2024年3月期)の連結業績は、売上高10,010百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益541百万円(前年同期比25.5%増)、経常利益539百万円(前年同期比13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益341百万円(前年同期比5.5%増)を予想しています。

下記の資料からも分かるように、新規出店による売上増を見込んでいる事がわかります。

株式会社ケアサービスの第33期の業績予想の図
株式会社ケアサービスの第33期の業績予想

リスク要因

「株式会社ケアサービス」のリスク要因については、以下のようにまとめられます。

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響は徐々に薄れていくと予想されますが、ウクライナ危機に端を発した世界的な物価高や急激な為替変動など、国際情勢の緊迫が経営に影響を及ぼす可能性があります。
  2. 介護業界では、消耗品価格や光熱費等の高騰に加え、人材を適時適切に確保することが非常に難しく、人件費及び採用コストの上昇が続いています。これにより、介護人材の採用と定着が大きな課題となっています。

ここから分かることは、介護業界の賃金も日本社会全体の賃上げ圧力を受けて上がる予定で、その影響で人件費及び採用コストの上昇が続くと見込まれます。また、介護人材の離職率は他の業界と比較して高いと言われていますので、介護人材が定着できるような施策を行わないと計画している新規出店が遅れる可能性があります。

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※当記事は特定の会社への投資の監修や売買の推奨などを目的としたものではありませんので、最終的な投資決定はお客様ご自身の判断で行って下さい

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