近年、テレビやインターネット上でも話題になることが多い「生前整理」。この言葉を聞いたことはあるでしょうか？
「生前整理」とは、自身が生きている間に自分の所有物を整理し、不要なものを処分する活動のことを指します。その目的は、自分の身の回りを整理し、遺族に迷惑をかけないようにすることにあります。
一見すると大変そうな作業かもしれませんが、生前整理はあなた自身にも大きなメリットをもたらします。特に、次のような効果が期待できます。
- 遺族への負担軽減：自分の手元にある物を整理することで、亡くなった後の遺品整理の負担を減らすことができます。
- 大切なものを残す：自分が本当に大切だと思うものだけを残すことができます。
さて、この記事では初めて生前整理に取り組む方々のために、生前整理のやり方をステップバイステップでわかりやすく解説していきます。
これを読めば、「生前整理って何？」という疑問から、「生前整理、始められそう！」という確信に変わることでしょう。それでは、一緒に生前整理の「何」から「どうする」までを学んでいきましょう。
生前整理のやり方を学べば、「生前整理ができそう！」と思えるようになりますので、ぜひ一緒に見ていきましょう。
生前整理とは？
さて、前述したように、「生前整理」とは自身が生きているうちに自分の持ち物を整理し、不要なものを処分する活動のことを指します。
しかし、これだけを聞くと「単に部屋を片付けるだけでは？」と思うかもしれません。それは一部正しいですが、生前整理はそれ以上の意味を含んでいます。
生前整理の真の目的
生前整理の真の目的は、自分が遺すもの、遺さないものを自分自身で決め、遺族に余計な負担をかけないことです。
これは、自分が亡くなった後のことを考えることから始まります。もしも自分が亡くなったら、自分の持ち物はどうなるのでしょうか？ もしかしたら、大切な人たちがその片付けに苦労するかもしれません。それを避けるために、生前に自分で手を付けるのが生前整理です。
生前整理と遺品整理
生前整理を考えるときには、遺品整理という言葉もよく耳にするかもしれません。遺品整理は、人が亡くなった後に遺族が行う、亡くなった人が残した物の整理を指します。対して生前整理は、自分がまだ生きているうちに自分自身で行う整理作業です。
この違いを理解することは、生前整理の真の意義を理解する上で重要です。
遺品整理は、残された人が亡くなった人の遺品を整理するため、その過程で亡くなった人の意志を推測しながら行う作業です。それに対して生前整理は、自分の意志で物を整理するため、自分が大切にしたいもの、大切な人に伝えたいことを自分の手で形にすることができます。
したがって、生前整理は自分の意志を明確に伝え、遺族に負担をかけないための重要な行為なのです。
自分の意志を明確に伝える手段として遺言書・エンディングノートもありますが、生前整理という手段を用いて意思を伝えるのって素敵ですよね。
生前整理のメリット
ここまで「生前整理」の基本的な意味と目的についてお話しました。しかし、生前整理にはさらに多くのメリットがあります。それらを理解することで、生前整理に対するモチベーションがさらに上がることでしょう。
遺族への負担軽減
まず最初に挙げられるのが、遺族への負担軽減です。自分が亡くなった後、遺品の整理や処分をするのは遺族の役目になります。しかし、これは時間も労力もかかり、精神的にも大変な作業です。
特に、何を処分し、何を残すべきかを遺族が判断するのは、亡くなった本人の意志を推測しなければならず、非常にストレスがかかります。
しかし、生前整理を行うことで、自分が生きているうちに自分の意志を明確にし、大切なものとそうでないものを分けることができます。これにより、遺族はあなたの意志を尊重しながら遺品整理を進めることができ、精神的な負担を大幅に軽減できます。
自分の生活の見直し
次に、生前整理は自分の生活の見直しのきっかけになります。生前整理を行うと、自分が何に価値を感じ、何を大切にしているのかを再認識することができます。また、自分が所有しているもの全てを見つめることで、物の多さに気づき、物の管理や消費について考える機会にもなります。
不要なものを処分し、自分が大切にしたいもの・大切にしているものが残るというのは気持ちが良いものです。文字とおり、自分の生活を見直すことが出来ます。
人生の振り返り
また、生前整理は人生の振り返りの時間にもなります。所有物を整理することで、それぞれの物が自分の人生の一部としてどのように関わってきたのかを思い出すことができます。これにより、人生を見つめ直し、これからどう生きていきたいのかを考えるきっかけにもなります。
尊厳死の実現
最後に、生前整理は尊厳死の実現にも繋がります。尊厳死とは、自分の意志を尊重した形で、自分らしく最後まで生き抜くことを指します。生前整理を通じて、自分の意志を明確にし、遺族に伝えることで、自分らしい最後を迎えるための準備をすることができます。
これらのメリットを考えると、生前整理は冒頭にお伝えした周りの人々への利益だけではなく、自分自身にも利益があることが分かります。
それでは次の章では、生前整理を始めるための準備について見ていきましょう。
生前整理の準備
生前整理のメリットを理解したところで、次に具体的にどのように始めるのか、その準備段階についてお伝えしましょう。順を追ってご説明しますので、初めての方も安心して進められます。
自分の価値観を明確にする
まずは、生前整理を始める前に自分の価値観を明確にすることが重要です。これは、自分が何を大切に思うか、どんな物を残したいと思うか、どのように遺族に思い出を伝えたいかなど、自分自身の感じ方や考え方を理解し、はっきりさせることです。これを明確にしておくことで、整理を進める際に迷うことが少なくなります。
必要な道具の準備
生前整理を進めるためには、整理に必要な道具を準備することも必要です。ゴミ袋や段ボール箱、マーカーペンなどがあると便利です。また、処分する物が多い場合は、大型ごみの処分方法を調べておくとスムーズです。
スケジュールの計画
また、生前整理は一日や二日で終わるものではないため、スケジュールの計画も大切です。焦らず、無理なく進められる範囲で計画を立てましょう。たとえば、「週末に2時間ずつ整理を行う」や、「1日に1カテゴリー整理する」など、自分のペースに合わせた計画を立ててください。
以上が生前整理を始めるための基本的な準備となります。次の章では、具体的な生前整理の手順を詳しく見ていきましょう。
物が多い家の場合には、特に「自分の価値観を明確にする」という点が大切です。どのような物を残し、どのような物を処分するのかが明確にできていると、生前整理を行う際にスムーズに進められますよ！
生前整理のやり方〜ステップ毎に解説〜
それでは具体的な生前整理の手順をステップバイステップで説明します。心と道具の準備ができたら、以下のステップに従って生前整理を進めていきましょう。
ステップ1：場所ごとに整理を始める
まずは、生前整理をする場所を決めて、場所ごとに整理を始めましょう。例えば一軒家であれば、リビングや寝室、自分の部屋などあると思いますので、どの部屋から整理するのかを決めます。
部屋の決めたら、その部屋の中の更にどこから生前整理を始めるのかを決めます。一つの部屋に一つの収納スペースであれば良いですが、複数ある場合にはどの収納スペースからスタートするか決めましょう。
すべての収納スペースを一気に行おうとすると非効率になりますので注意して下さい。
ステップ2：必要なものと必要でないものを分ける
次に、そのスペース内の物を一つずつ手に取り、必要なものと必要でないものに分けていきます。ここで大切なのは、物に対する自分の価値観を思い出しながら、自分にとって本当に必要なものかどうかを冷静に判断することです。
生前整理の準備で、この大切にしたい価値観がある程度決められていれば、スムーズに仕分け作業を進めていくことができるはずです。
ステップ3：処分するものはすぐに処分
分けたもののうち、不要なものはすぐに処分します。保管しておくと再び物が増えてしまうため、一度手放すことを決めたらすぐにゴミ袋や段ボール箱に入れ、処分しましょう。
もちろん決められたゴミの日までは処分できないと思いますので、その日までは保管しておいてもOKです。
ステップ4：残すものは適切に収納
最後に、残すものは適切に収納します。物を適切に整理・収納することで、場所を取らずにすっきりとした生活空間を保つことができます。
ここでの注意点は、収納するための収納箱を新たに購入しないことです。収納箱が出来ると、収納できるのでもっと購入しよう！と思ってしまい、ものが新たに増えてしまいます。
原則としては、既存の収納箱を利用・活用して残すものの収納を行うようにしましょう。
これらのステップをすべての部屋、すべての収納スペースに対して行っていきましょう。
生前整理は一度で終わるものではありません。定期的に行うことで、自分の生活スタイルや価値観の変化に合わせて物を整理することができます。
以上が、生前整理のステップバイステップガイドです。次の章では、生前整理に関するよくある質問について答えていきます。
今回、生前整理のやり方を紹介していますが、生前整理のやり方自体に正解はありません。まずはお伝えした方法で試してみて、微妙そうであれば微妙な点を改善して、自分に最適な生前整理のやり方を見つけていくと良いと思います！
生前整理で困ったときの対処法
生前整理は単純なようでいて、実は思い出の詰まった品々を整理する過程では多くの人が困難に直面します。そこで、生前整理で困ったときの一般的な問題とその対処法について解説します。
問題1：どうしても手放すのが難しい物がある
対処法： 大切な思い出が詰まった物を手放すのは容易なことではありません。そんな時は、物を直接保管するのではなく、写真に撮ってデジタル化するという方法があります。また、大切な人とその思い出を共有することで、物としてではなく心の中に思い出を残すこともおすすめです。
問題2：時間がかかりすぎて進まない
対処法： 生前整理は急いで行うものではありません。自分のペースで進めることが大切です。また、毎日一定の時間を設けて少しずつ進めるという方法もあります。物が多い場合は、専門の整理収納アドバイザーや生前整理業者に依頼して生前整理をしてもらうのも一つの方法です。
問題3：大量のゴミの処分に困る
対処法： 大量のゴミが出た場合、地域の大型ゴミの収集日や処分場を調べて計画的に処分しましょう。自治体の処分場に持ち込める場合には、一度に大量のゴミを処分できます。
また、リサイクルショップやネットオークションで売却する、地域のフリーマーケットで手放すという選択肢もあります。その他、生前整理業者に処分を手伝ってもらう事もできます。
以上が、生前整理でよく遭遇する問題とその対処法です。最後に生前整理を業者に依頼して手伝ってもらう場合を紹介します。
自分で生前整理を行えない、施設入所などが迫っていて急いで生前整理をする必要がある、といった場合にはぜひ活用してみて下さい。
生前整理業者に依頼するやり方
生前整理は自分一人で始めることも可能ですが、大量の物を持っている場合や心情的な負担が大きい場合など、生前整理業者に依頼することも一つの選択肢となります。
下記には生前整理業者の助けを借りるメリットと、その選び方について解説します。
生前整理業者を利用するメリット
生前整理業者に依頼する場合のメリットは主に3つあります。
効率的に整理できる
生前整理は多くの時間とエネルギーを必要とします。生前整理業者のの助けを借りることで、計画的かつ効率的に整理を進めることができます。例えば自分で生前整理をするのに3日かかるとすれば、生前整理業者であれば半日〜1日で終えることが出来ます。
心情的な負担を減らす
自分の持ち物を整理するという作業は、思い出の品に触れることで心情的な負担を感じることもあります。生前整理業者に依頼することで、その負担を減らすことができます。
生前整理業者が自分の代理で仕分けを行ってくれるので、思い出の品に触れることがないため心情的な負担を軽減する事ができるのです。
適切な処分方法を提案してもらえる
何をどのように処分すれば良いのか迷うこともありますが、生前整理業者は適切な処分方法を提案してくれます。むしろ、生前整理業者がゴミを処分してくれますので、生前整理で出てきたゴミをどのように捨てるのか？で悩むことがなくなります。
生前整理業者の選び方
生前整理業者に依頼する場合には、以下の点に注意してください。
- 信頼性： ネットの口コミや紹介、電話対応、見積対応の丁寧さなどから信頼性を判断しましょう。
- 費用： 初回の相談は無料のところが多いです。詳細な費用を明確にしてから依頼しましょう。予算内で依頼できるか確認しましょう。
- サポート内容： 自分がどのような支援を必要としているのかを明確にし、それに対応できる業者を選びましょう。例えば生前整理と同時にハウスクリーニングを行ってもらいたい場合には対応できるかを問い合わせる時に一緒に聞きます。
生前整理は一人で進めることも、生前整理業者に依頼することも選択肢の一つです。自分にとって最適な方法を選んで、スムーズな生前整理を行いましょう。下記の記事では、生前整理業者に依頼した場合の料金相場について詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみて下さい！
まとめ
この記事では、生前整理のやり方について詳しく解説しました。生前整理とは自分の持ち物を整理し、不要な物を処分することで、後の世代に負担をかけず、自分自身も快適に生活できるようにする活動を指します。
生前整理のメリットは多く、物量の軽減、遺産整理の負担軽減、生活環境の改善などが挙げられます。また、心の準備から始め、整理の基準を設けることが大切だということも学びました。
ステップバイステップガイドでは、まず整理する目標を設定し、大切にする価値観を明確化することから始め、一つずつ手放すことで整理を進めていく方法を示しました。
そして、大量の物を持っている場合や心情的な負担が大きい場合などは、生前整理業者に依頼することも一つの選択肢であると述べました。
生前整理は、自分自身が心地よく生活を送るため、また、家族や親しい人々に負担を掛けないための大切な活動です。この記事が、生前整理に取り組む際の一助になれば幸いです。
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