遺品整理会社は上場すべきなのか?終活領域のプロが本気で考えてみた!

遺品整理会社が上場するイメージ図 コラム

会社を経営している者としての1つの夢でもあるのが「会社を上場させる」という行為です。

証券取引所で株式が売買されるようになることを「上場」と呼び、その株式を発行している企業を「上場会社」と呼びます。

会社を上場させることで、市場から資金調達を行うことができるようになるため、会社を拡大させるための投資がしやくなるメリットがあります。

私は終活業界に関わる中で1000以上の遺品整理業者さんとお話しさせて頂きましたが、目をギラギラとさせた数名の社長さんは「遺品整理の事業で上場させる!」と興奮させていたのを覚えています

今回のコラム記事では、「遺品整理会社は上場すべきなのか?」というテーマで書いていきたいと思います。

しゅう
しゅう

あくまで私、しゅうの個人的な感想&意見なので、上場したい!という遺品整理会社さんは気にせずに突っ走って良いと思います!ただ、少し熱を冷まして冷静に判断する際の材料にしてもらえたら幸いです。

なぜ上場することを目指すのか?

なぜ上場を目指すのか?という問いに対しては無限の回答があると言ってよいでしょう。下記には、上場する一般的な理由を列挙してみます。

  1. 資金調達:上場により、企業は公募を通じて大量の資金を調達することができます。この資金は事業拡大、や周辺領域へと戦略的投資に使用されることが多いです。
  2. 株式の流動性:公開市場での株式取引は、株主にとって株式を売買する機会を提供し、株式の流動性を高めます。
  3. 企業価値の評価:上場企業は市場によって常に評価されます。これにより企業は自社の市場価値を明確にし、さらなる投資や合併、買収の判断材料として活用できます。
  4. ブランドや評判の向上:上場は一般的に信頼性や知名度を向上させるものと見なされます。これにより、顧客やビジネスパートナーとの関係を強化することが期待されます。
  5. 従業員の報酬やインセンティブ:上場企業は、ストックオプションや株式購入プランなどの形で従業員に株式を提供することができ、これが従業員の動機付けや離職防止に役立つことが多いです。
  6. 企業の透明性:上場企業は、財務報告やガバナンスの要件が厳格になるため、より透明性が高まります。
  7. 初期投資家や創業者の資産の現金化:上場により、初期の投資家や創業者が保有する株式を現金化することが容易になります。資産30億円!みたいな社長さんの多くは、この上場時のキャピタルゲインで得たお金でお金持ちの仲間入りを果たします。
  8. 地域や業界のリーダーシップ:上場することで、企業はその地域や業界でのリーダーシップや存在感を強化することができます。

遺品整理会社の社長さんの心の中の想いとしては、「7.初期投資家や創業者の資産の現金化」で億万長者になりたい!という気持ちはあるのでしょうが、表向きとしては「遺品整理業界をグレーからホワイトに変えたい!」「上場することで優秀な人材を呼び込みたい!」という熱い気持ちを持たれている方が多いように思えます。

しゅう
しゅう

少し棘のある書き方をしたものの、「7.初期投資家や創業者の資産の現金化」で億万長者になる事を願う事は全く悪い事だと思いません。むしろ、資本主義社会である以上、上場できるだけの会社を作った人は報われるべきです。

遺品整理会社は上場すべきでない理由

上記でなぜ経営者が上場を目指すのか?についてお伝えしましたが、断固として私は「遺品整理会社は上場すべきでない」と考えています。

その理由は、下記の3つです。

すべてクリーンにゴミを捨てるのは不可能に近い

「遺品整理」と言えど、平たく言えば「廃棄物」の処分が事業内容ですから、必ず一般廃棄物収集運搬許可が問題になります。

確かに一般廃棄物収集運搬許可の業者を現地に呼んで遺品の処分をしてもらう事は可能ですし、ほとんどすべてを合法的な形で処分している遺品整理会社さんも知っています。

しかし、「ほとんど」と言っているように、どこかで処分が困難なものが出てきますし、処分を適正にしようとすればするほど価格が上がっていって消費者に「価格が高い」と選ばれない結果になってしまいます。

消費者からすれば、「なんでゴミ捨てるのにお金がかかるんだよ」っていう所から始まっているので、一般廃棄物収集運搬許可を利用して合法的に処分するにはそれなりの費用が掛かる事を理解してもらうのは現状では難しいとなります。

決算を良くするために無理が働く可能性がある

訪問駆けつけ系の業種で上場企業だと、害虫駆除のサニックスやアサンテ、水道トラブルのアクアラインなどがあります。

ただ、サニックスは2007年に行政処分を、アクアラインは2021年8月に行政処分を受けています。

これらの行政処分の原因は「強引な営業行為」という事になりますが、上場企業になると「常に成長し続けないといけない」というルール?がありますので、売上を上げて株価を上げるために無理が働く可能性があるのです。

株価が伸びる要素が見当たらない

上場後の株価が伸びる為には「この会社に投資をすれば、将来成長し続けるぞ!」という投資家からの信頼感・希望感が必要です。

しかし、確かに2040年までは死亡人口は伸び続けますが、それ以降は減少傾向になる日本において、遺品整理会社がなぜ伸び続けるの?と言う回答を見つけ出す必要があります。

葬儀・お墓を中心に最近は相続や介護領域まで進出している鎌倉新書でさえ、絶頂期は1000億近くあった時価総額も300億前後となっており、下降傾向になっています。

鎌倉新書の株価のグラフ
鎌倉新書の株価のグラフ

これらの事項を考慮すると、わざわざ上場をしなくても未上場で楽しく会社を運営していた方が良いのでは?と思わずにはいられないのです。

遺品整理会社は上場させずに可能な限りキレイにやるのが1番

前章でお伝えしたように、「上場企業になる」という事に夢や憧れを抱く事自体は非常に理解できます。心から共感しますし、痛いほど憧れを理解できます。

しかし、その強い憧れを知っているからこそ、一度立ち止まって冷静に考えた方が良いよ!と声を大にして言いたいのです。

上場はゴールではなく通過点でしかありませんから、上場後のことを加味すると「上場しない」が少なくとも現状の遺品整理領域における結論です。

それでも上場させたい場合には?

上場企業に買収してもらう」という手段があると思います。

シェアリングテクノロジー株式会社(3989)が2023年3月に藤澤不動産株式会社(三重県四日市市)の株式を取得し子会社化しましたが、藤澤不動産株式会社は害虫・害獣駆除を行う会社です。グループとしての自社施工を増やしてくことで利益率を改善したいという思惑が見て取れます。

このように上場企業に買収してもらうことで、

  • 大変な上場審査をスキップして上場企業の仲間入りできる
  • 上場企業のグループ会社という形でアピールを出来る
  • 買収してもらえるので売却分のキャピタルゲインが手に入る

というメリットがあります。もちろん、単体で上場するよりはキャピタルゲインが少なかったり、雇われ社長になって何をやるにも親会社の承認が必要になったりと不便になりますが、「上場させたい!」という憧れを叶えること自体は可能になります。

まとめ

遺品整理会社が上場すべきか?というテーマで記事を書いてきました。私の結論としては「上場しない方がよい」ですが、それでも上場させたい!という方は買収してもらうという選択肢もあることを紹介しました。

上場はゴールではなく通過点でしかない、という観点を忘れずに、再度自分の遺品整理会社を上場させるべきか?を考えてもらえれば幸いです。

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