「ぼったくられたくない!」と思うのは誰でも同じだと思いますが、「ぼったくり」の定義は存在せず、個人がぼったくりだと思えばぼったくりになるのが現状です。
したがって、ある人にとっては「ぼったくり」だと思っても、他の人にとっては「ぼったくり」ではないことも多々あるのだという事です。
今回は、「葬儀屋はぼったくりなのか?」というテーマで記事を書いていきたいと思います。
「ぼったくり」かどうか?を客観的に判断するには「営業利益率」を見るのが良いと考えたので、上場している葬儀会社の営業利益率と他のサービス業の営業利益率を比較して、葬儀屋がぼったくりなのか?を検討していきたいと思います!
営業利益率とは?
葬儀屋がぼったくりなのか?を検証する前に、そもそも「営業利益率」とは何なのか?を解説していきます。
定義
営業利益率(えいぎょうりえきりつ)は、企業の収益性を評価する指標の一つです。この率は、企業の営業利益を売上高で割ることによって計算され、企業がどれだけ効率的に運営されているかを示す重要な指標となります。具体的には、営業利益率は以下の式で表されます。
営業利益率の重要性
営業利益率は、企業の収益性と効率性を評価する上で重要です。高い営業利益率は、企業がその売上から多くの利益を生み出していることを示し、その結果、企業の財務状況が健全であることを意味する可能性があります。一方、低い営業利益率は、企業が売上に対して十分な利益を生み出していないことを示す可能性があり、その企業の財務状況に問題があるかもしれません。
営業利益率の計算
営業利益率を計算する際には、まず営業利益と売上高を確認する必要があります。営業利益は、売上から販売費用や一般管理費を差し引いたものです。次に、営業利益を売上高で割り、その結果に100を掛けて、営業利益率をパーセンテージで表します。
具体例
例えば、ある企業が売上高が1,000万円で、人件費や原材料費で800万円掛かったとします。すると、営業利益は、1000万円 – 800万円なので200万円になります。
この場合、営業利益率は以下のように計算されます。
この例では、企業の営業利益率は20%です。
なぜぼったくりの指標に営業利益率を使うのか?
前述の通り、営業利益は売上から原価や人件費などを引いたものです。
人が「ぼったくりだ!」と思うのは、自分が適正だと思う以上の料金だと感じるからです。
例えば、本革の財布があってLOFTやインターネットでは5000円で購入できるとします。しかし、その本革の財布に「GUCCI」というロゴが入るだけで値段が10倍の50000円になります。
これを「ぼったくり」だと思うか?は人によって異なります。「GUCCI」を知らない人、または「GUCCI」に価値を感じない人からすれば「ぼったくり」と思うはずです。逆に「GUCCI」を知っている、もしくは「GUCCI」に価値を感じている人は「適正価格」と思うはずです。
厳密にはGUCCIはブランドを維持するために多額の広告宣伝費を掛けているので、原価が5000円の本革財布と同じという事はあり得ないのですが、分かりやすく言えば50000円で売れる財布の方が5000円で売れる財布よりも営業利益率は高くなります(差額で45000円も!ある訳ですから)。
したがって、営業利益率が高いことは「ぼったくり」だと思われやすいと考えるのです。
葬儀屋の営業利益率
今回取り上げる葬儀屋さんは、上場企業であり且つ終活ちゃんねるでも取り上げている「ティア」と「平安レイサービス」を見ていきましょう。
売上 | 営業利益 | 営業利益率 | 参考資料 | |
ティア | 132億8300万 | 10億5700万 | 7.9% | 22年9月期決算短信 |
平安レイサービス | 89億7200万 | 12億3200万 | 13.73% | 22年3月期決算短信 |
上記には、22年通期の決算内容を表にまとめてみました。
ティアの営業利益率は7.9%、平安レイサービスの営業利益率は13.73%となっています。
これだけだと比較対象がないので、この営業利益率が高いのか、低いのかが分からないですよね。次の章では、他のサービス業の営業利益率とも比較して見ようと思います。
他業種と比較から分かるぼったくり度合い
葬儀屋はサービス業ですので、同じサービス業で違う業種の会社の営業利益率と比較してみましょう。
業界 | 売上 | 営業利益 | 営業利益率 | 参考資料 | |
ティア | 葬儀 | 132億8300万 | 10億5700万 | 7.9% | 22年9月期決算短信 |
平安レイサービス | 葬儀 | 89億7200万 | 12億3200万 | 13.73% | 22年3月期決算短信 |
ヤマト運輸 | 運送 | 1兆8006億 | 600億 | 3.3% | 23年3月期決算説明資料 |
ダスキン (訪販セグメントのみ) | 掃除 | 1071億 | 105億 | 9.8% | 23年3月期決算説明資料 |
ニチイ (介護セグメントのみ) | 介護 | 1514億 | 163億 | 10.7% | 19年3月期決算説明資料 |
ナガセ (東進塾などを経営) | 塾 | 523億 | 53億 | 10.1% | 23年3月期決算説明資料 |
松屋フーズホールディングス | 飲食 | 1065億 | 14億 | 1.3% | 23年3月期決算短信 |
このように他のサービス業の会社と比較すると、営業利益率を客観的に比較できるようになります。
平安レイサービスの営業利益率の13.73%は、今回取り上げた会社の中では一番高い営業利益率ではありますが、「ぼったくり」と言えるほど高いのか?というと違います。営業利益率10%前後という意味では、ダスキン・ニチイ・ナガセもありますので、筆者の感想としては「葬儀屋はぼったくりではない」と言えると思います。
葬儀屋の利益率改善の努力
最後に少しだけ「葬儀屋のぼったくり」の話から逸れますが、葬儀屋が営業利益率を高くするための努力について簡単にお伝えしたいと思います。
下記は、前章で紹介した平安レイサービスの23年3月期第二四半期の決算説明資料からの抜粋です。
ここから読み取れることは、様々な工夫を凝らして葬儀屋は営業利益率を高めようとしているという点です。
上記のスライドでは、非常に細かい点まで改善を行うことで利益率を改善させる!という意気込みが伝わってきますが、逆に言えばそれくらいしないと営業利益率13.73%は達成しないという事です。
「葬儀屋はぼったくり」という方へのアドバイス
今回紹介した2つの葬儀屋は、葬儀業界に1000社以上存在する葬儀屋のごくごく1部でしかありません。したがって、たしかに「ぼったくり」とも言える料金で葬儀を提供している会社もあるとは思います。
もし「葬儀屋はぼったくり」だと思うのであれば、私のアドバイスとしては「火葬式・直葬」を行うことです。
日本では基本的には遺体は火葬する必要があるので、火葬の費用はかかりますが、葬儀を行うかどうか?は自由です。可能な限りシンプルな葬儀を選択して、火葬のみを行えば「ぼったくり」に会いにくくなるでしょう。
火葬の費用については下記の記事でまとめていますので、興味があればご覧ください。
まとめ
葬儀屋はぼったくりなのか?というテーマで記事を書いてきました。
葬儀屋の営業利益率を見れば、他のサービス業と比較して極端に高いという事はなく、ぼったくりではないと言える状況が伺えます。
しかし、「ぼったくりかどうか?」の最終的な判断は感じる本人ですので、あくまで今回の記事の内容は筆者が思う感想でしかないとも言えます。
可能な限りぼったくられない葬式を行うのであれば、火葬式・直葬を行うようにして、無駄な経費が乗らないようなプランを選択することをオススメします。
納得の行く葬儀が出来ることを願っています。読んでいただき、ありがとうございました!
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