不用品回収は違法なの?業者も困る一般廃棄物収集運搬許可も解説!

違法な不用品回収に関して議論するイメージ写真 コラム

遺品整理や生前整理、引っ越しの際に不用品が出てくることは多いかと思います。その際に、自治体のゴミのルールに則って処分する事を最初に考えますが、処分する日にちが合わなかったり、運び出しが大変だったりして不用品の処分を業者に依頼したい!となることも多いでしょう。

しかし、環境省がホームページで訴えているように、不用品を業者に依頼する際には「不用品回収の違法行為」に注意する必要があります

今回の記事では、不用品回収が違法なのか?というテーマで、不用品を業者に回収してもらう際に必要な許可や不用品回収業者の現状をお伝えしたいと思います。

記事を読むと、不用品回収業者が違法で行わざる得ない現状が浮かび上がってきます。

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「合法で出来るならしたい!」という不用品回収業者がほとんどです。違法で不用品回収を行わないと行けない現状について、お伝えしていきます!

不用品回収に必要な許可とは?

不用品回収を合法的に行うためには許可が必要」というのは冒頭にお伝えした通りですが、どのような許可が必要なのでしょうか?

具体的には下記の表をご覧になってもらえればと思いますが、一般的に廃棄物は「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類されます。そして家庭から出るゴミは基本的には「一般廃棄物」に分類されます。

東京都の産業廃棄物対策課のHPにある表の写真
東京都の産業廃棄物対策課のHPにある表

家庭から一般廃棄物を処分する場合には「一般廃棄物収集運搬許可」が必要になり、この許可なしには家庭から出るゴミを収集し、運搬することは禁止されています

したがって、一般家庭で出た不用品を回収し処分するには、この「一般廃棄物収集運搬許可」が必要ということになります。※「遺品整理」で出た不用品は、「遺品」となりますが、これも分類上はゴミになるので一般廃棄物収集運搬許可が必要です

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エアコン・冷蔵庫・洗濯機・テレビは、家電リサイクル法に定められた家電になるので、一般廃棄物収集運搬許可では処分できません。家電リサイクル法に定められた方法で処分する必要があります。

違法な不用品回収業者の実態

さて、前章で一般家庭の不用品回収には一般廃棄物収集運搬許可が必要だということが分かりました。では、どれくらいの不用品回収業者(遺品整理業者やゴミ屋敷清掃業者を含む)が一般廃棄物収集運搬許可を持っているのでしょうか?

一般廃棄物収集運搬許可の取得状況

データがないので客観的な数字は出せないのですが、私の肌感覚では99%の不用品回収業者が一般廃棄物収集運搬許可を所持していません

したがって、99%の不用品回収業者は違法で不用品回収をしている事になります。

なぜ違法状態になるのか?

不用品回収業者が合法的に不用品回収を行うのであれば、「一般廃棄物収集運搬許可を取得すれば良いじゃないか!」と思うかも知れません。しかし、現実的には難しい状況が在るのです。

下記は、一般廃棄物と産業廃棄物の収集運搬許可の取得の難易度をまとめた表です。

範囲取得の難易度
一般廃棄物収集運搬許可市町村区ごと新規発行が行われていないので取得は困難
産業廃棄物収集運搬許可都道府県ごと試験や要件に合格すれば取得可能
一般廃棄物と産業廃棄物収集運搬許可の取得の違い

見れば分かるとおり、一般廃棄物収集運搬許可は新規発行がほとんどの自治体で行われていないので、取得したくても出来ない現状が在るのです。

また、産業廃棄物収集運搬許可は都道府県ごとに取得すればOKなのに対して、一般廃棄物収集運搬許可は市町村区ごとに取得する必要がある事が分かります。これはつまり、東京都八王子市の一般廃棄物収集運搬を持っていても、東京都府中市や東京都町田市にあるお客様の不用品回収を行う際には新たに一般廃棄物収集運搬許可が必要になるということです。

八方塞がりな不用品回収業界

ここまで読み進めると、不用品回収業者が一般廃棄物収集運搬許可を持って合法的に業務を行う困難さが理解できます

そして、晴れて一般廃棄物収集運搬許可を1つの市町村区で取得できても、違う市町村区で業務をしたいと違う市町村区の一般廃棄物収集運搬許可が必要になるので非常に使い勝手が悪いのです。

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行政も生活保護の方の不用品回収などを一般廃棄物収集運搬許可を持っていない業者に依頼している現状もあり、目をつぶっている現状が在ると言えます。

くらしのマーケットの不用品回収は違法なのか?

インターネット上には有名な「くらしのマーケット」含め様々なプラットフォームが不用品回収のサービスを提供しています。しかし、結論から言えば、基本的にすべてのプラットフォームの不用品回収は違法だと思った方が良いでしょう。

もちろん、くらしのマーケットを始めとしたプラットフォームは「僕らはマッチングしているだけなので、関係ありません」と言うと思いますが、プラットフォームとしての責任は「違法行為を管理監督する義務がある」と言えますので、くらしのマーケットを始めとしたプラットフォームも違法行為を認めていると考えて良いでしょう。

ただし、前章でもお伝えした通り、仕方がないと言えば仕方がない現状がありますので、「まぁ違法だけど、しょうがないよね」と肩をポンってしてあげたくなります

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「違法、合法、どっちなのよ!?」と言われれば「違法ですよ」と言うしかないのですが、仕方無くない?と言いたいのが本音です。

違法な不用品回収を如何に合法にしているのか?

さて、不用品回収業者たちは「違法だ」と分かっていても業務を行っています。これはどのような形で違法な形を合法に変えているのでしょうか?

今回は、下記の主に行われている3つの方法をご紹介します。

所有権移転で回収

簡単に言えば、「あなたが捨てたいといってる物を、私に下さい。そしたら私がよしなに対処します」という形で所有権を移転させて不用品回収をする方法です。

おそらく、これが最も一般的に利用されている方法となります。

所有権が移転された物は、捨てようが、売ろうが、使おうが何でもOKなはず。したがって、所有権を移転してもらった不用品回収業者が必要に応じて売ったり、捨てたり、自分たちで使ったりするのです。

しっかりとしている不用品回収業者は「トラックに載せたら、所有権は◯◯(不用品回収業者の名前)に移るものとします」といった契約書を交わすようにしてトラブル防止に努めています

一般廃棄物収集運搬許可を持つ業者を呼んで回収

自分たちが一般廃棄物収集運搬許可を持っていないなら、一般廃棄物収集運搬許可を持つ業者を呼んで処分すればOKというのが、この方法です。

不用品回収業界では、この方法が最も合法的だと言われており、所有権を移転した不用品回収を危険だと考えている業者は、この方法を取っています。

最も合法的にも関わらず不人気な理由は、①処分費用が高くなるので、お客様から受注しにくくなる②土日祝のお客様が作業して欲しい日程に一般廃棄物収集運搬許可業者が休みの場合が多く使いにくい、という2つです。

このあたりが解消されると、もっと不用品回収業者が利用する方法だと思います(なぜなら最も合法だから)。

買取をして回収

一昔前は多かったやり方が、不要なものを含めて買取するよっていう方法です。「1円買取」のような事が一時期流行りましたが、この方法でゴミも含めて買取をして、作業量として別途料金を貰う形です。

ただし、買取の本来の目的は買取したものを商品として他の誰かに売ることなので、ゴミを買取するというのはNGという事で現在ではあまり利用されていません。

その他の回収方法

「産業廃棄物収集運搬許可を持っているので大丈夫です!」といった不用品回収業者もいましたが、今は見なくなりました。とはいえ、不用品回収業界の捨て方問題はずっと付きまとっている話なので、今後も新しい処分方法が開発されるかもしれません。

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私の感覚ですが、不用品回収業界でのそれぞれの方法の利用率は、所有権移転→8割、一般廃棄物収集運搬許可業者を呼ぶ→1割、その他→1割だと思います。それくらい所有権移転が使い勝手が良いのです。

違法がない不用品回収をするために必要なこと

ここまで読んでいただいて、分かることは必ずしも違法で不用品回収をしたい業者だけでは無いという点です。

一般廃棄物収集運搬許可の新規発行が進めば、より多くの不用品回収業者が取得するようになるでしょうし、そうすれば合法的な不用品回収が広まるはずです。

それではなぜ一般廃棄物収集運搬許可の新規発行が進まないのでしょうか?下記には主に2つの原因をご紹介します。

既得権益だから

タクシー業界同様に、一般廃棄物収集運搬許可の業界も既得権益が存在します。「新しい会社が入ってきたら価格勝負になって会社が続かない」といった形で既存の許可を持つ会社の都合とともに、「新規業者の管理が大変・・・」といった行政側の都合の両面があると考えられます。

この両者の都合が「新規発行はしない方が良いよね」っていう結論で合致している以上、新規発行が行われる事は無いでしょう。

クリーンセンターの許容量の問題

一般廃棄物収集運搬許可を持った業者が回収したゴミはクリーンセンターに持ち込まれます。しかし、クリーンセンターの許容量にも限界があり、これ以上ゴミの処分量が増えると困る・・・というのが実情でしょう。

一般廃棄物収集運搬許可を持たない不用品回収業者はクリーンセンターには持ち込みできないので、民間の中間処理施設に持ち込むので結局はゴミになるのですが、クリーンセンターに持ち込む方が不用品回収業者的には基本的には安いはずなので、本当は持ち込みたいはずです。

国主導の法改正が必要

廃棄物に関する法律が制定された当時は、現在のような不用品回収や遺品整理の需要があるとは想定せずに作られたのだと思います。しかし、少子高齢化や核家族化でゴミを自分で捨てないといけない状況が増える中で、業者に依頼してゴミを捨てる(不用品回収をしてもらう)機会は増加しています。

冒頭に環境省のHPを載せましたが、違法な状態をアナウンスするのは正しいですが、一般廃棄物収集運搬許可が取得できない現状も知っているはずなので、解決策もしっかりと示すべきだと考えます。

今後、不用品回収や遺品整理、ゴミ屋敷片付けへのニーズは増えていくと予想されるので、ぜひ早急な法改正を望みたいと思います。

まとめ

記事を通じて、不用品回収が違法なのか?というテーマで不用品回収業界の現状や問題点を解説してきました。

不用品回収業界のことは業界の人は知っているけど、一般の方は知らないが現状だと思います。

この記事をキッカケに不用品回収業界の状況を知っていただき、少しでも多くの方が不用品回収の現状と問題点に興味や関心を持ってもらえると嬉しいです!

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