近年、伝統的な墓地に代わって自宅にお墓を設置するケースが注目されています。
これは、自宅の中や特定の建物内に家族の遺骨を安置することを指します。
この記事では、多くの方が疑問に思う「自宅にお墓を設置する」とは何か、またその背景や現代での増加の理由について、詳しく解説していきます。
お墓を自宅に設置することを考えている方は、ぜひ最後まで読んでいってください!
自宅に遺骨・焼骨を保管できるなら、もっとも費用が掛からないし、楽だな!と思っていた私ですが、自宅にお墓を設置するには制限があることを学びました!ぜひ皆さんも学んでいってください。
自宅にお墓を設置するとは?
まずは自宅にお墓を設置する、という意味や注目されている背景を解説していきたいと思います。
自宅にお墓を設置するとは?
「自宅にお墓を設置する」とは、家の中にお骨を保管し、お墓を設置することを指します。
お骨を埋葬する行為は、墓地、埋葬等に関する法律(いわゆる、墓地埋葬法)によって定められています。
第二条 この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。
5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。
第四条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
墓地、埋葬等に関する法律
上記に記載されているとおり、土の中に死体または焼骨の埋葬をすることは、墓地以外には行ってはいけないと記載されているため、例え私有地の中であっても、土の中に骨壷を埋めたり、焼骨を埋葬する事はできません。
自宅でお墓を設置する場合でも、厳密には焼骨や骨壷を部屋の中に保管し、そこにお墓を設置すると考えた方が良いでしょう。
なぜ自宅でのお墓の設置が注目されるのか?
現代においては、核家族化の進行や地域社会とのつながりの希薄化など、様々な背景が影響しています。伝統的な家族墓を維持するのが困難になったり、遠方の墓参りが難しいと感じる方々にとって、自宅安置は非常に魅力的な選択肢となっています。
また、家族との絆を感じながら、いつでも手を合わせることができるのが最大の魅力です。その他にも、伝統的な墓地や寺院での墓とは異なり、長期的な維持費の節約や、オリジナリティある遺骨安置スペースのデザインなどが可能となります。
家の敷地に墓石を見たことがあるけれど?
田舎の家では自宅の敷地に墓石を見たことがあることもあるでしょう。
この場合は違法なのか?というと、「場合による」と言わざる得ません。
まず、墓石があっても焼骨を埋めていない場合には先ほどの法律違反にはなりません。また、墓地、埋葬等に関する法律が施工された昭和23年(1948年)より前に行政から許可をもらって作られたお墓であれば「みなし墓地」と考えられて、こちらも法律違反になりません。
しかし、もし墓石の中に焼骨が埋まっていることがあれば、それは法律違反になってしまうので対応を検討したほうが良いでしょう。
私の義理の父親の実家にはお墓が自宅裏にありました。ここに焼骨が埋まっているのか?は不明なので、今度確認してみよう〜と思った次第です。
自宅に墓を設置するメリット
近年の日本の家族構造やライフスタイルの変化に伴い、自宅での遺骨安置が選択されることが増えてきました。この章では、その背景としての自宅にお墓を設置するメリットについて詳しく解説します。
1. いつでも手を合わせることができる
自宅に遺骨を安置することで、いつでも好きなときに手を合わせることができます。特定の日や時間を選ばず、自分のペースで故人を偲ぶことができるのは、自宅にお墓を設置しているならではの利点です。
2. 長期的な維持費の節約
伝統的な墓地や寺院での墓は、年間の維持費や修繕費がかかることが一般的です。しかし、自宅での遺骨安置は、そのような追加のコストが発生しづらいため、長期的に見て経済的にもメリットがあります。
3. オリジナリティある安置スペースのデザイン
自宅でお墓を設置して遺骨の安置を選択すると、安置スペースのデザインやデコレーションに自由度が増します。故人が好きだった花や、家族の写真など、オリジナリティ溢れる安置スペースを作成することができます。
4. 家族の絆を深める
家の中に故人の遺骨を安置することで、家族間の絆を深める機会となります。故人を中心に家族が集まり、共に過ごす時間が増えることで、家族の絆を感じることができます。
5. 移転や生活の変化に柔軟に対応
生活の変化や引越しの際も、自宅にお墓を設置していれば遺骨を一緒に移動させることが可能です。これにより、柔軟に生活の変化に対応することができます。
もし従来のようなお墓の場合、移動には「墓じまい」を行う必要があり、百万円単位の費用がかかってくるため経済的な負担が大きくなってしまいます。その点でも、自宅に墓地を設置するメリットはあるでしょう。
このように、自宅墓には多くのメリットがあります。しかし、自宅での遺骨安置には注意点もあるため、次の章ではその点について詳しく解説していきます。
自宅にお墓を設置する注意点
自宅墓には多くのメリットがありますが、同時に注意すべきポイントも存在します。この章では、自宅でお墓を設置して遺骨の安置を考えている方に知っておいてほしい注意点について詳しく解説します。
1. 法的な制約
先述の通り、自宅での遺骨安置には、墓地埋葬法などの法的な制約が存在します。具体的には、庭や外部のスペースに遺骨を埋める事は違法とされています。
逆に言えば、お墓のモニュメントだけを庭に立てて、遺骨は自宅内に保管するのであればOKな訳ですが、安置の仕方に法的に問題ないか、十分に確認することが必要です。
2. 近隣との関係
自宅にお墓を設置する場合、近隣住民との関係を悪化させる原因となることがあります。特に、集合住宅などの場合、他の住民への配慮が必要です。
とはいえ、自宅に入らない限りはお墓が在ることは分かりませんので、そこまで気にする必要はないでしょう。
3. 適切な安置スペースの確保
自宅でお墓を設置して遺骨の安置をするには、湿度や温度が一定の条件を満たす適切なスペースが必要です。
涼しい場所、湿度が高すぎない場所、日陰、といった条件の揃った部屋に遺骨を管理した方が良いのですが、それに適した場所を選ぶことが大切です。
4. 遺骨の取り扱い
遺骨をどうするのか?は自分だけの問題ではなく、それ以降の世代にも関わる問題です。自分は自宅にお墓を設置しておくことに同意していても、他の家族が反対した場合には、自分が亡くなったあとの取り扱いに困ってしまいます。
伝統的なお墓の場合も同様ですが、自分の死後の遺骨の取り扱いについては、他の家族としっかりと話し合っておくことが必要です。
5. 宗教や文化の違い
自宅での遺骨安置は、一般的な墓地や寺院とは異なるため、宗教や文化の背景によっては受け入れられないことがあります。自身の信仰や家族の考えを尊重し、適切な方法で遺骨を安置することが大切です。
自宅墓の選択は、故人との絆を深める大切な方法として考えられますが、上記のような注意点を理解して、適切な判断を下すことが必要です。
自宅にお墓を設置する方法
自宅に墓を設置することで、故人との絆を日常の中で感じ続けることができます。しかし、その設置方法には様々なステップが含まれます。この章では、自宅墓を設置する際の具体的な手順と注意点について解説します。
1. 法的な確認を行う
まず、前章でもお伝えしているように、墓地埋葬法に沿った形でお墓を設置するようにしましょう。
ポイントは「焼骨・お骨を土に埋めてはいけない」という点ですので、自宅内で保管するのであれば問題ありません。また、例え庭にお墓を建てても、焼骨を埋めなければ問題ありません。
2. 墓のタイプを選定
自宅にお墓を設置するタイプは、いくつかのタイプがあります。壁掛け型やスタンド型、床置き型など、自宅の空間やデザインに合わせて選択します。また、使用する材料やデザイン、サイズなども考慮に入れることが必要です。
下記は「おくぼ」と呼ばれる自宅墓を販売している会社のホームページから抜粋した写真ですが、下記のような形で写真と焼骨の一部をお墓にして自宅に設置するというタイプもあります。
3. 専門家との相談
自宅墓の設置は、「どのようなお墓にするべきか?」と悩む事が多いでしょう。インターネットでまずは自宅墓を調べてみて、自分が「いいなぁ〜」と思った会社に問い合わせをしてみるのが良いでしょう。
5. 墓のメンテナンス
自宅墓の設置後も、定期的なメンテナンスが必要です。特に、屋内での湿度や気温の管理、供花や供物の手入れなど、日常的なケアが欠かせません。
自宅墓を設置する際には、上記の手順を順に進めることで、故人を偲ぶための適切な場所を作ることができます。
まとめ
本記事を通じて、自宅にお墓を設置するという概念、設置の注意点や手順について詳しく解説してきました。自宅墓は、故人との絆を身近に感じることができる特別な場所ですが、その設置には様々な手順や注意点が伴います。
墓地埋葬法により、自宅の庭に遺骨を直接埋葬することはできないため、法的な確認を十分に行うことが必須です。また、墓のタイプの選定や、専門家との相談、施工業者の選定など、多くのステップを経て自宅墓を設置することができます。
最後に、自宅墓のメンテナンスも重要なポイントとなります。日常的なケアや環境の管理を行うことで、長く故人を偲ぶ場所として大切にしていくことができます。
自宅墓を設置する際には、本記事で紹介した内容を参考に、適切な方法で墓を設置し、故人を偲ぶ特別な場所を作ることを心がけましょう。
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