空き家問題は日本全国で深刻化しており、これを解決するための一つの方法として空き家の片付けがあります。
しかし、空き家の片付けにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?また、どのようにしてその見積もりを取るべきなのでしょうか?
空き家が放置されると、多くの問題を引き起こす可能性があります。その一つが害虫・害獣の発生です。長い間手入れがされないと、害虫・害獣が巣を作りやすい環境となります。また、近隣に迷惑をかけるだけでなく、場合によっては建物の損傷を引き起こす可能性もあります。
さらに、放置された空き家は不法占拠の対象となることもあります。不法占拠者が入り込んだ場合、その対応は非常に困難となります。さらに、そのような状況は近隣の治安を悪化させる要因にもなりえます。
このように空き家が引き起こす様々な問題を解決するためには、定期的な管理や片付けが必要となります。また、遺産相続などで空き家が引き継がれた場合も、早期に片付けを行うことで後の問題を未然に防ぐことができます。
しかし、空き家の片付けは大きな労力が必要なだけでなく、費用もかかります。では、その費用は一体どの程度になるのでしょうか?そして、その費用の見積もりはどのように取るべきなのでしょうか?
次章以降で、これらの疑問について詳しく見ていきましょう。
空き家を相続する事例は今後一気に増えていくと予想されます。自分も他人事ではないと思って、読み進めてもらえると嬉しいです!
空き家の片付けにかかる費用
空き家の片付けには一定の費用がかかりますが、その費用は家の大きさ、不用品の量、必要な撤去や修理の有無などにより大きく変わります。
以下では、これらの要素について詳しく見ていきましょう。
家の大きさ
空き家の片付けにかかる費用は、その物件の大きさが大きな影響を与えます。一般的に、物件が大きければ大きいほど、その片付けにはより多くの時間と労力が必要となります。それはつまり、より多くの費用がかかるということを意味します。
不用品の量
空き家にある不用品の量も費用を左右する重要な要素です。不用品が多ければ、その処理に時間と労力がかかるため、費用も上がります。一方で、不用品が少なければ、その分費用を抑えることが可能です。
必要な撤去や修理の有無
空き家の片付けでは、場合によっては特定の建物の撤去や修理が必要となることもあります。
例えば、壊れた床板の交換や、危険な状態になっている壁の撤去などです。また、庭があれば庭木の伐採・抜根・剪定が必要になるでしょう。これらの作業は、場合によっては専門的な知識とスキルが必要となりますから、費用はそれなりにかかることを覚悟しなければなりません。
空き家の片付けの料金相場(業者依頼の場合)
空き家の片付けをする場合には、業者に依頼して一気に片付けを行ってもらう場合と、自分たちでゆっくり片付けをするという2パターンがあります。
下記では業者に依頼して空き家の片付けにかかる一般的な費用相場を、部屋の数別にまとめた表を作成しました。ただし、この表はあくまで一般的な参考価格であり、具体的な費用は物件の状況や地域、業者によって異なるため、実際の見積もりとは異なる可能性があります。
部屋の数 | 費用相場(日本円) |
---|---|
1部屋 | 30,000 – 50,000 |
2部屋 | 60,000 – 100,000 |
3部屋 | 90,000 – 150,000 |
4部屋 | 120,000 – 200,000 |
5部屋以上 | 150,000 – 250,000+ |
なお、上記費用には特殊な撤去作業や修理などが必要な場合の追加費用は含まれていません。そのため、実際の費用はこの表の金額よりも高くなる可能性があります。
また、費用はエリアやサービス提供者によっても異なります。同じサイズと状態の空き家でも、地域によっては片付けの費用が高くなることがあります。
業者に依頼する場合の空き家の片付け費用は、都心が高く地方が安いイメージがありますが、必ずしもそうではありません。確かに都心の方が人件費は高いですが、処分費が競争が激しいために安くなる傾向にあります。したがって、都心だから高い・地方だから安いとは言えないのです。
空き家の片付けの料金相場(自分で行う場合)
空き家の片付けを自分たちだけで行う場合、業者への支払いは発生しませんが、以下のような経費が発生します。それを参考に料金相場を表にまとめました。
- 不用品の処分費用:ゴミ処理場へ直接持ち込む場合や、粗大ゴミとして市町村に処分を依頼する場合など、処分方法によって費用は異なります
- 作業用具の購入費用:作業に必要な道具(手袋、マスク、作業服、ブーツ、ゴミ袋、掃除用具等)の購入費用が発生します※特にゴミ袋は大量に必要になりますので、地域指定のゴミ袋があるかどうかはチェックしましょう
- 車両費用:不用品をゴミ処理場に運ぶための車両費用。レンタカーやトラックの利用料が必要な場合もあります
これらの費用は具体的には以下のようになります。
費用項目 | 費用相場(日本円) |
---|---|
不用品の処分費用 | 2,000 – 10,000/トン※自治体による |
作業用具の購入費用 | 5,000 – 20,000 |
車両費用 | 10,000 – 30,000/日 |
なお、これらの費用はあくまで一般的な参考価格であり、具体的な費用は物件の状況や不用品の量、地域などによって異なります。特に不用品の処分費用は自治体によって大きく異なりますので、事前にチェックして下さい。
また、自分たちだけで行う場合には、身体的な負担や時間的なコスト、作業中の事故リスクなども考慮に入れるべきです。
例えば、業者に依頼すれば1日で終わる作業も、自分たちだけで行うと2日・3日とかかる事は多くあります。その場合、その分の自分たちの時間が取られるほか、重たいものを持った時に怪我をするリスクもあります。
空き家の片付け費用を抑えたい!という気持ちは非常に理解できます。ただ、自分たちの時間・怪我するリスク・現地までの交通費など見えない費用がかかっている事は意識しましょう。それを考慮した上で、業者に依頼するかどうかを判断しましょう!
空き家の片付けと同時に伐採・剪定をする際の費用相場
空き家の片付けと同時に行う木の伐採や剪定の費用は、木の種類、大きさ、位置、伐採や剪定の作業難易度などにより異なります。また、伐採や剪定した木の廃棄処理費用も費用に含まれることが一般的です。
以下に、木の伐採や剪定の一般的な費用相場を大きさ別にまとめた表を作成しました。ただし、この表はあくまで一般的な参考価格であり、具体的な費用は木の状況や地域、業者によって異なるため、実際の見積もりとは異なる可能性があります。
木の大きさ(高さ) | 伐採・剪定費用相場(日本円) |
---|---|
〜3m | 10,000 – 20,000 |
3m〜5m | 20,000 – 40,000 |
5m〜10m | 40,000 – 80,000 |
10m以上 | 80,000 – 150,000+ |
非常に高い位置にある木や、建物などに近接した場所にある木は作業が難しくなり、費用が上がることが一般的です。同様に、木の種類や状態(例えば、病気や虫害により危険な状態にある場合など)も費用に影響します。
具体的な費用を知るためには、実際に業者に見積もりを依頼することが最も確実です。その際には、木の状態や位置などを詳しく伝え、可能であれば写真などを提供するとより正確な見積もりが得られます。
空き家片付けの見積もりを取る方法
空き家の片付けや木の伐採・剪定を業者に依頼する場合、費用を把握するためには業者から見積もりを取ることが重要です。
以下では、適切な見積もりを取るための基本的な手順をご紹介します。
業者の選定
まずは業者の選定から始めましょう。インターネットで「空き家の片付け」「木の伐採・剪定」などと検索すると、様々な業者が見つかります。
業者選びのポイントとしては、料金の透明性、評判、対応エリア、サービス内容などが考えられます。もし片付けと同時に木の伐採・剪定も依頼したいのであれば、同じ業者に依頼する方が費用が安くなる可能性がありますし、同じ日程で作業してもらえるので楽でしょう。
また、可能なら複数の業者から見積もりを取ることで、適正な価格を把握しやすくなります。
見積もり依頼
選定した業者に見積もりを依頼します。この際、以下のような情報を詳しく伝えるとより正確な見積もりが得られます。
- 物件の大きさや部屋数
- 片付けるべきアイテムの種類と量
- 木の大きさや位置、種類(伐採・剪定を依頼する場合)
可能であれば、物件や木の写真を送るとより具体的な見積もりがもらえます。
見積もりの確認
見積もりが届いたら、その内容を確認します。見積もりには、サービスの詳細、料金の内訳、追加料金が発生する可能性がある場合など、詳細な情報が記載されているはずです。不明点があれば、遠慮せずに業者に問い合わせましょう。
「安さ」が大事なのは非常に理解できますが、安さだけで選んだ結果、業者の作業の質に満足しなかったり、追加料金のトラブルに巻き込まれたりする方を多く見て来ています。
空き家の片付けや伐採・剪定は、作業を依頼してみないと作業の質や作業の内容が分からないので、最終的には「この人・この業者を信頼できるか?」という軸で判断するのがオススメです。
以上が見積もりを取る基本的な手順です。この流れを踏まえて、自分のニーズに最も合った業者を選び、適正な費用で空き家の片付けや木の伐採・剪定を進めていきましょう。
1円でも安く!と考えてしまうと、トラブルに巻き込まれやすいと終活業界に10年以上身をおいて感じています。安さも大事です。大事なのですが、トラブルに巻き込まれては元も子もないでしょう。したがって、信頼できるか?をしっかりと見極めて下さい。
空き家片付けの見積もりを比較する際のポイント
空き家の片付け業者から見積もりを取った後は、それらを比較し、自分のニーズに最も適した業者を選びましょう。
見積もりを比較する際に重要となるポイントを以下にご紹介します。
総額だけでなく内訳も確認
見積もりの比較を行う際、まず注目すべきは総額です。トータルでいくらかかるのか?を確認します。
しかし、総額だけでなく料金の内訳も重要です。料金の内訳を確認することで、どの作業にどれくらいの費用がかかるのか、また、何が含まれていて何が含まれていないのかを把握することができます。もしここで、「A社は〇〇の項目が入っているのに、B社には〇〇の項目が入っていない・・・」など気になることがあれば、気になる項目がある業者に聞いてみるのが良いでしょう。
日本人の性格上、「気になる事があっても迷惑がられると嫌だから聞かない」事が多いのですが、後々のトラブル防止ですので、必ず聞くようにしましょう。
追加料金が発生する可能性の確認
見積もりには、基本的なサービス内容とその費用が記載されていますが、作業を進める中で追加料金が発生する可能性があります。
例えば、想定外の大量のゴミが出た場合や、予想外の難易度の高い作業が必要になった場合などです。追加料金が発生する可能性やその条件をしっかりと確認しておくことは重要です。
ただし、現地見積もりをして貰っているのであれば、業者の見積ミスでの追加料金は業者の責任ですから、お見積り書などに「弊社のミスでゴミの追加が出た場合には、追加料金は頂きません」といった記載をしてもらいましょう。
「お見積り書に記載してもらって文章で残す」という箇所は非常に大切です。口頭ですと言った言わないのトラブルになりますので、必ず文章に残してもらうようにして下さい。
サービスの質と評判の確認
料金だけでなく、サービスの質も重要な比較ポイントです。同じ金額でも、サービスの内容や業者の対応が良い方が満足度は高まります。また、他のお客様の評判や口コミも参考にすると良いでしょう。
ただ、評判や口コミはサクラで嘘のものを掛けてしまう時代ですので、最終的には問い合わせ時や見積もり時の対応の良さを自分で判断しましょう。インターネット上の評判がどんなに良かったにも関わらず、トラブルを起こす業者を多数見てきていますので、最後は自分の感覚を信じることが大切です。
以上のポイントを踏まえて見積もりを比較し、最も適した業者を選びましょう。ただし、安いからといって必ずしも良いわけではないという点も忘れないでください。価格とサービスの質をバランス良く考えることが大切です。
口コミや評判を頼りたい気持ちは分かります!ただ、あくまで口コミや評判は他人の単なる感想でしかありません。参考にする程度にして、最終判断は自分が「この業者に依頼したいかどうか」で判断しましょう。
まとめ
空き家の片付けや木の伐採・剪定は大きな作業となり、それに伴う費用も重要な考慮点となります。この記事では、その費用や見積もりの取り方、そして見積もりを比較する際のポイントについて解説しました。
まず、空き家の片付けや木の伐採・剪定にかかる費用については、部屋数や木の大きさ・量、作業の難易度などにより変動します。自分で行う場合や専門業者に依頼する場合、それぞれにかかる費用は大きく異なります。
次に、適切な業者を選び、見積もりを取る方法について説明しました。具体的な物件や作業内容を詳しく伝え、複数の業者から見積もりを取ることで適正価格を把握することが可能です。
また、得られた見積もりを比較する際のポイントとしては、総額だけでなく料金の内訳、追加料金の可能性、そして業者の評判やサービスの質を考慮することが重要となります。
以上の情報を元に、適切な業者を選び、適正な費用で空き家の片付けや木の伐採・剪定を進めていきましょう。記事の内容が皆様の参考になれば幸いです。
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