49日の法要や会食の席などでは、参列者へのお礼を込めて喪主が挨拶をします。
とはいえ、お葬式と同じ内容を喋っていいのか、どんな挨拶をしていいのか困ることもあるでしょう。ここでは挨拶の例文や話し方のコツなど、49日の挨拶に役立つポイントを解説します。
49日の挨拶とは
故人が亡くなった日を含めた49日目に行われる法要を「四十九日法要」と言います。葬儀の時と同じように、喪主などは四十九日の法要でも挨拶をします。
49日の挨拶とは、法要を行うにあたって参列者への案内と、感謝の意を兼ねたものです。
挨拶は法要の進行・案内も兼ねていることがあるため、法要の開始・終了・法要後の会食前・会食の終了後などのタイミングで挨拶をします。
49日の挨拶の目的・意義
49日の法要は、故人や遺族にとって大切な節目となります。これまで遺族は喪に服していましたが、一般的には49日をもって忌明けとするからです。
49日に挨拶をする目的は、参列者への感謝とともに、「おかげさまで無事に忌明けを迎えられました」という報告をすることです。
とはいえ、挨拶の内容に特に決まりはありません。法要の内容や状況によっては、故人の思い出を語ったりしてもいいでしょう。
49日における挨拶のポイント5つ
49日の挨拶は、法要や会食の案内・参列者への感謝・忌明けの報告などを目的に行います。そこで注意したいポイントは5つ。
49日の挨拶で気をつけたいポイントは、前置きは短く・文章は簡潔に・話す内容・話すスピードに加えて、事前に原稿を用意しておくことです。
49日の挨拶は法要の進行に合わせるため、挨拶が長くて予定時間を過ぎるようではいけません。だからこそ事前の準備が大切なんです。
1:前置きは短く
49日で挨拶をするタイミングは、意外と多いものです。そのため前置きの長いスピーチが何度も続くと、参列者もうんざりしてしまいます。
49日の挨拶では、前置きは「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます」など、簡潔なものにしましょう。
挨拶文の前置きは、「本日は故○○の供養を共にしていただき」「おかげさまで49日の法要を無事に終えることができました」など、状況によって変えるといいでしょう。
2:長文は避ける
49日では、挨拶も法要の進行に合わせて行われます。事前に原稿を用意することは大切ですが、あまり長すぎる原稿を用意するのは避けたいものです。
一般的に、挨拶に適した時間は1分程度と言われていますが、これを文章にすると原稿用紙1枚ほどに相当します。
文字数にして、300字から400字を1分で読み切るのが、49日の挨拶としてはちょうどいい長さになります。
3:ゆっくり話す
実際に、キッチンタイマーなどを使って、300字から400字の文章を1分で読んでみましょう。意外と時間が長く感じませんか?
挨拶として言葉を伝えるには、聞き手が内容をイメージできるように、ゆっくりはっきりと話すことが大切です。
例えば、ラジオの朗読番組などをイメージしましょう。話すスピードだけではなく、人名や日付など大切な部分を強調したりと、聞き手に伝わる工夫をしているのが分かります。
4:事前に原稿を作成する
49日に限らず、人前での挨拶は緊張するものです。緊張すると話す内容を忘れたり、しどろもどろになる人も多いでしょう。
49日の挨拶をスムーズに終えるには、事前に話す内容を書いた原稿を作ることです。
挨拶は原稿を読みながらでも問題ありません。ただし、ずっと原稿に目線を落とすのは印象が良くありません。感謝を述べる時などはしっかり前を向くといいでしょう。
5:挨拶の内容
49日の挨拶は、1分程度で終わらせるのが一般的なマナーです。そのため、タイミングごとに話す内容を事前に決めておきましょう。
49日で挨拶をするタイミングは法要の前後・法要後の会食などですが、故人のエピソードを入れるなど、全て同じ文章にならないように配慮しましょう。
また、仏事では避けた方がいい「忌み言葉」があります。例えば、「乾杯」はお祝いや宴席で使う言葉です。49日の会食では「献杯」としましょう。
1:参列者へのお礼
49日の法要では、何よりも参列者へのお礼が大切です。法要に来ていただいたことへのお礼のほか、状況に合った感謝の気持ちをを伝えましょう。
参列者へのお礼を伝えるタイミングは、法要前の参列へのお礼、法要終了後のお礼、故人と会食を共にしていただくお礼、忌明けのお礼などです。
例えば「この度はお忙しい中」という前置きの後に、「故○○の49日法要にお集まりいただきありがとうございます」などと述べましょう。
2:故人が生前お世話になったお礼
49日の挨拶は、故人が忌明けを迎える報告も兼ねています。改めて、参列者に故人が生前お世話になったお礼をしましょう。
故人が生前お世話になったお礼は、法要や会食後などの、忌明けの報告をするタイミングで伝えるのが自然です。
急に帰られる参列者がいた場合は、直接お礼を伝えるのがいちばんです。それが難しい場合などに備えて、あらかじめ法要後の挨拶文に組み込むのもです。
3:故人のエピソード・思い出
法要では会場の都合などもあるため、どうしても通り一遍の挨拶になってしまいがちです。
挨拶で故人のエピソードや思い出を語るなら、比較的時間のある会食の席で行うといいでしょう。
特に会食の前に行う「献杯」の挨拶なら、故人の思い出を伝えることで、会食に招かれた側も会話がしやすくなります。
4:今後の支援のお願い
故人の友人・知人はともかく、親族とは今後もつき合いがあるでしょう。そこで法要や会食後の締めの挨拶ででは、遺族を支えてくれるよう挨拶をします。
今後の支援は、法要への参列や忌明けの報告をした後で「これからも変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします」などとお願いするのが適切です。
お願いごとというのは、他人にとってはぶしつけなものです。必ずお礼や必要な報告を済ませてから述べるようにしましょう。
49日における挨拶例5つ
49日法要で、喪主が挨拶をするタイミングは主に4つあります。法要の始まる前、終了後、会食前の献杯の挨拶、会食後の締めの挨拶です。
挨拶をする場合は、まず参列者の感謝を述べてから次に行うことの簡潔な説明をした上で、必要に応じて補足などを加えるといいでしょう。
また、喪主の挨拶は法要の司会進行も兼ねているため、僧侶への呼びかけも忘れないようにしましょう。
1:法要始めの挨拶
予定時間になり、参列者が席に着いたタイミングで、法要の始まりを告げる挨拶をします。この場合、僧侶の準備も整っているか確認した方がいいでしょう。
挨拶の例文は、「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。これより故○○の49日法要を執り行いたいと存じます。それではご住職、よろしくお願いいたします」などです。
故人の名前は本来戒名で呼びますが、「母○○」などと続柄・俗名で呼んでも構いません。
2:法要の締めの挨拶(会食あり)
49日の法要後に会食がある場合、それを伝えるようにしましょう。
挨拶文としては「本日は私どもと供養を共にしていただき、誠にありがとうございました。この後ささやかではございますが、○○にてお膳を用意いたしました。お時間の許す限りごゆっくりなさってください」などが適切です。
会食場所が離れている場合、集合場所や会食場所なども伝えるといいでしょう。
3:法要の締めの挨拶(会食なし)
49日の法要で会食を開かないのであれば、会食がないことをお詫びするようにしましょう。
会食がない場合は、「本日は故○○の供養をしていただき、心からお礼申し上げます。本来であれば皆様と粗宴を囲み、○○の思い出話をしたいところですが、本日はこれでお開きとさせていただきます」と伝えます。
49日に限らず、法要は遠方から来ている参列者も多いため、「遠方からお越しの方も多いため」など理由にしてもいいでしょう。
4:献杯の挨拶
「献杯」と「乾杯」では、大きな違いがあります。乾杯とは、お祝いの席などでグラスを高く掲げて行うものですが、献杯は目線の高さで静かにあげます。
献杯の挨拶をする時は、「本日は亡父のためにお時間を作っていただきありがとうございます。おかげさまで無事に49日の忌明けを迎えることができました。それでは改めて故人を偲び、献杯」などとします。
献杯の際には「けんぱーい」ではなく、静かに「献杯」と言いましょう。
5:会食の締めの挨拶
締めの挨拶では、「本日はお忙しい中最後までお付き合いいただき、ありがとうございました」とお礼の言葉を前置きします。
次の挨拶文は「大変残念ではありますが、そろそろお時間となりましたので、これでお開きとさせていただきます。父の亡きあと寂しくなってしまいましたが、今後とも変わらぬお付き合いをよろしくお願いいたします」などとするのが適切です。
今後の支援のお願いなども、このタイミングで言うといいでしょう。
49日の挨拶のポイントを理解して挨拶しましょう
ここでは49日に挨拶をする意味や、実際に使える挨拶の例文などを紹介しました。人前で挨拶をする、というのはなかなか慣れないものでしょう。
49日の挨拶は、故人だけではなく遺族が日常に戻ることを、参列者に報告するものです。
これまでの慌ただしい状況から、前を向いて生活していくための決意表明とも言えるでしょう。しっかりと言葉を選んで伝えたいものです。