おくりびとの仕事は一般的には知られていませんが、故人の遺体を管理する大切な仕事です。
この記事ではおくりびとの仕事を具体的に紹介しています。またおくりびとの大変な点も紹介しています。おくりびとに関心を抱き、就職を考える人は参考にしてください。
おくりびと(納棺師)とは
「おくりびと」の正式な名称は納棺師ですが、他の呼称には湯灌師や復元納棺師があり、死者を棺に納める仕事と関連商品の販売を兼ねています。基本的には葬儀社の依頼で動きます。
一般的に特殊な職業に位置付けられていますが、人の死は常にあるので欠かすことができない職業です。納棺師という職業は、青函連絡船洞爺丸沈没事故がきっかけとなり、生まれたといわれています。
おくりびとの役割
「おくりびと」の役割としては火葬するまでの遺体の管理があります。単に遺体を見ているだけではなく、遺体の見栄えを整えるのも職務内容に含まれています。遺体を見栄えよく整えることで遺族は対面しやすくなります。
「おくりびと」の具体的な仕事内容には、ドライアイスを用い遺体の腐敗の進行を抑えることがあります。他には遺体の臭いを抑えたり、遺体に化粧をするのも職務内容に含まれています。
映画でも注目を集めた
「おくりびと」は、映画の「おくりびと」によって世間の注目を浴びるようになりました。映画がきっかけで「おくりびと」の存在を知った人は多いです。
映画の「おくりびと」では本木雅弘が納棺師の役を演じていますが、仕事に対する葛藤も丁寧に描かれていました。具体的な納棺師の仕事を知るには最適な映画です。
おくりびとの具体的な仕事の種類4つ
以下では、「おくりびと」の具体的な仕事内容を紹介していきますが、イメージしやすいように細かい点も伝えていきます。「おくりびと」を志す人は以下の内容を参考にしてください。
1:故人の体を清める湯灌
湯灌は遺体を入浴させ遺体を清める作業ですが、状況によっては清拭だけで済ませる場合もあります。一般的に男性は髭を剃られますが、女性の場合は死に化粧が施されます。
しかし湯灌の内容は地域差があるので、上記のケースがすべてとは言い切れないです。また湯灌は遺族が一緒に行うことも可能です。詳しいことは、葬儀社または納棺専門業者に聞いてください。
2:故人の身支度を整える作業
遺体は火葬される前に遺族と対面しますが、そのときに汚い身なりをしていたら遺族はつらくなります。遺族側の感情を慮ってか、「おくりびとは」故人の身支度を整えます。
故人の身支度を整えることも「おくりびと」の仕事になっていますが、きれいな身なりの故人を見たら遺族も安心することでしょう。「おくりびと」は遺族への配慮が大切な仕事です。
3:棺に副葬品と共にご遺体を納める作業
遺体を棺に納めるのも「おくりびと」の仕事です。棺に遺体を納めたあとは火葬となりますが、故人が好きだったものも棺に一緒に納めます。この瞬間は遺族にとってはつらいものですが、「おくりびと」は冷静に作業を進めなくてはいけません。
遺体を棺に納めるときに遺族の人と目が合う可能性はありますが、そのようなときでも「おくりびと」は感情に流されてはなりません。
4:ご遺体の防腐処置であるエンバーミング
「おくりびと」の仕事には遺体の腐敗を抑える作業もあります。人は死んだら生気が失せてきますが、同時に腐敗が進行します。腐敗を抑えるためには、エンバーミングという作業が必要です。
エンバーミングをしなければ、遺体から感染症が発生するおそれがあります。遺体を消毒して腐敗を抑える仕事は気持ちのいいものではありませんが、「おくりびと」は冷静に作業を進めなくてはいけません。
おくりびとの仕事に就くには
「おくりびと」は大変な仕事ですが、「おくりびと」になりたい人はいます。しかし「おくりびと」の求人は少ない傾向にあります。求人数が少ない理由には、「おくりびと」の仕事の特殊性があります。
下記では「おくりびと」の仕事に就く方法を紹介しています。また「おくりびと」に関係する事柄も併せて紹介しています。「おくりびと」の仕事を志す人は参考にしてください。
葬儀社へ就職するのが主
「おくりびと」の仕事に就くには、葬儀社に就職するのが手っ取り早いです。しかし葬儀社に就職した場合は、「おくりびと」以外の仕事も任される可能性があります。「おくりびと」以外の仕事には事務作業や送迎などがあります。
「おくりびと」以外の仕事内容は、就職する葬儀社によって異なる可能性が高いです。詳しいことは就職する葬儀社に確かめるしかありません。
専門的な資格は必須ではないがあると有利
「おくりびと」の仕事をするための専門的な資格はありませんが、納棺専門会社の実技テストに合格したら有資格者と認定されることが多いです。葬儀関係の専門学校で実技を学ぶことも就職には有利です。
「おくりびと」の仕事は一度実技を学んだらそれで終わりの世界ではなく、常に学び続ける姿勢が大切です。遺体と遺族を相手にする「おくりびと」の仕事は奥が深いです。
給料の相場は?
葬儀社のスタッフは全般的に給料が高めの傾向にありますが、「おくりびと」の給料も高めです。大手の葬儀社に就職すれば、年収が500万円を超えることもあります。管理職になればさらに給料は高めになり、人によっては1000万円を超えることもあります。
しかし納棺専門会社で「おくりびと」だけの仕事をする場合は、葬儀社よりも給料が若干低めです。それでも一般的なサラリーマンの給料よりは高めの傾向にあります。
おくりびとの仕事の大変な点
一般的には給料が高めの「おくりびと」の仕事ですが、大変なことも多いです。下記では「おくりびと」の仕事の大変な点を紹介していきます。「おくりびと」の仕事を志す人は、大変な点も知っておいた方がよいでしょう。
「おくりびと」の仕事の大変な点を知ることで、仕事に対する覚悟が試されます。覚悟を決めて「おくりびと」の仕事に就いた人は、仕事が長続きしやすいです。
常に人の死と向き合うことになる
たとえ仕事とはいえ、遺体を見るのは気持ちのいいものではありません。それでも「おくりびと」は冷静に仕事を進めなくてはいけません。
「おくりびと」になりたての頃は遺体を見るだけで動揺する人が多いですが、そのような試練を「おくりびと」は乗り越えていかなければいけません。「おくりびと」の仕事は精神的にも大変です。
肉体的にハード
「おくりびと」の仕事は葬儀関連なので、決まった労働時間がないことが多いです。エンバーミングするときなどは徹夜作業になることがあります。それから遺体の入浴作業などもあるため肉体的にハードです。
人を動かすときは想像以上に力がいりますが、遺体であればなおさら力が要求されます。遺体を動かすときに腰を痛める「おくりびと」は多いです。現場を掛け持ちすることが多い「おくりびと」は、腰痛になるリスクが高いです。
遺族の悲しみで心苦しくなる
「おくりびと」の仕事で一番つらいことは、棺の蓋を閉めるときという人はいます。棺の蓋を閉めた瞬間は、遺族の悲しみが頂点に達することが多いです。悲しむ遺族を見て心を痛める「おくりびと」はいます。
「おくりびと」はこのような場面に常時立ち会わなくてはいけません。仕事と完全に割り切れる人であればいいですが、そのような境地になるには年月がかかります。「おくりびと」はプロフェッショナルでなければ務まりません。
おくりびとの仕事は強い使命感を必要とする仕事
「おくりびと」の仕事は大変なことも多いですが、「おくりびと」の仕事は世の中に欠かすことができません。一般的には人が嫌がる仕事ですが、それでも誰かがやらなくてはいけません。そのような「おくりびと」には強い使命感が要求されます。
高い給料だけが目的では、「おくりびと」の仕事は務まりません。社会に必要だという使命感があるからこそ、「おくりびと」の仕事を続けることができます。