「お盆に釣りをするなんてとんでもない」「お盆は水辺に近づかないほうがいい」などといわれたことはありませんか。
お盆に釣りをしてはいけない理由とは何なのでしょうか。お盆に釣りをしてはいけない6つの理由と、お盆に釣りをしたい場合どうすればいいのかをご説明します。
お盆とは
毎年のお盆休みには、ふるさとに帰省したり旅行に行ったりと楽しい予定を立てる人が多いです。待ちに待った長期休暇ということもあって、予定がびっしりという人もいるのではないでしょうか。
しかし、そもそも休みになるほどの「お盆」とは何なのでしょうか。休みの予定を立てる前に、本来「お盆」とは何なのか一度考えて見ましょう。
先祖の霊が帰ってくる期間
お盆とは、先祖の霊があの世からこの世に帰ってくる期間と考えられています。年に一回、帰ってきた先祖の霊を家族でお迎えし、供養するのがお盆の習わしです。
お盆の期間中に玄関などに盆提灯を飾るのは、先祖の霊が迷わずに帰ってこられるようにするためです。特に、故人が亡くなって初めて迎える初盆は、知人なども呼び盛大にお迎えします。
時期
お盆の時期は、一般的には8月15日前後です。8月15日がお盆とされるのは新暦になってからで、旧暦では7月15日前後をお盆としていました。全国的にお盆と言えば、新暦の8月15日前後を指しますが、地域によっては旧暦でお盆を行うこともあります。
8月13日に迎え火を焚いて先祖の霊を迎え入れ、16日の送り火であの世へとお送りしますが、これも地域や宗派によって風習が異なることもあるので注意が必要です。
お盆に釣りをしてはいけない理由
お盆の本来の意味は、「帰ってくる先祖の霊を家族でお迎えし供養すること」でしたが、お盆に釣りをしてはいけないと言われたことはありませんか。
お盆に釣りをしてはいけない理由とは何なのでしょうか。昔から言われてきたけど、よく考えるとどうしてダメなのかわかりません。お盆に釣りをしてはいけない理由を6つ挙げてみました。
理由1:お盆は不殺生戒の期間をされている
お盆の期間は、仏教の五戒のひとつ「不殺生戒」の期間とされています。「不殺生戒」とは、生き物を故意に殺してはいけないという意味で、お盆はその期間に当たります。お盆に精進料理を食べる風習があるのはそのためです。
お盆は、狩りのような殺生が禁止されている期間なので、当然のように釣りもしてはいけないこととされています。
理由2:お盆には地獄の釜が開く
お盆は地獄の番人である鬼も休日になるため、地獄の釜が開くとされています。鬼も休むお盆の期間中に、釣りなどの殺生をすると地獄の釜で焼かれてしまうといわれていることから、お盆に釣りをすることは禁止されています。
また、地獄の釜が開くと地獄に落ちた罪人までこの世に戻ってくるため、水辺に近づくと海の深いところまで引きずり込まれてしまうから、釣りなどで水辺には近づかない方がいいとも言われます。
理由3:死者に水辺に引き込まれてしまう
お盆の期間中は、釣りだけでなく「海に入ることもいけない」といわれることも多いです。海や川といった水辺には霊が集まりやすいといわれます。集まる霊のなかには成仏できない霊や供養されていない霊もいて、生きている人間をあの世へ引き込もうとすると信じらています。
そのため、水辺に行かないとできない釣りも「死者に水辺に引き込まれるのでしてはいけない」と言われるようになりました。
理由4:クラゲが大量発生する
お盆には水辺に霊が集まるというのは迷信で、「お盆に釣りをしてはいけない」理由は、実は海の事故を防ぐために言い伝えられてきたことだという見方もあります。
お盆の時期はクラゲが増え始める時期と重なり、この時期になると成長したクラゲが毒を持ち始めます。そのため、「お盆には釣りをしてはいけない」とか「お盆を過ぎたら海に入ってはいけない」と言われるようになったといわれています。
理由5:海が荒れやすい
お盆の期間中は、海が荒れやすい時期でもあります。そんな時期に海へ近づけば事故が起こる可能性が高くなるのは当然です。釣りに夢中になってしまうと危険の察知が遅くなり、海難事故に巻き込まれてしまうこともあります。
水辺での事故を防ぐためにも、お盆中は釣りをしないほうがいいよと昔から言い伝えられてきました。お盆に釣りをしてはいけないというのが迷信だとしても、きちんとした理由があってのことです。
お盆は大潮にあたる時期
お盆は月と太陽の関係で、ちょうど大潮にあたる時期になります。大潮とは干潮と満潮の差が最も大きいことで、干潮のときに陸地だと思っていた場所が、満潮になったら海の中だったということにもなりかねないため、海難事故が起きやすい時期です。
また、干潮と満潮の差が大きいことで潮の流れが速くなるので、海が荒れやすくなりとても危険な時期ともいえます。
理由6:台風による高波の危険がある
お盆の時期は台風も多く、海が荒れて高波が発生したり、川が増水したりすることが多いのでとても危険です。そのため、危険をさけるために、お盆には釣りはしないほうがいいといわれてきました。
お盆は水辺に近づかないほうがいいというのは、このような自然現象から身を守るためでもあります。昔から言われていることには、きちんとした理由があります。
土用波と呼ばれる
お盆の時期に発生する大きな波のことを「土用波」といいます。土用波は遠洋で発生している台風の影響が関係しているといわれます。近くに台風が来ていないからといって安心していると、想像もできないような高波が発生することもあります。
土用波と呼ばれる突然の高波や大波は、海に慣れている人でも波にさらわれることもあり注意が必要です。釣りに夢中になって高波に襲われないように細心の注意を払う必要があります。
お盆に釣りをしたい場合
さまざまな理由で「お盆に釣りをしてはいけない」ということがわかりましたが、釣りが趣味の人も多いです。せっかくの休みに趣味を楽しめないというのは残念なことです。どうしてもお盆に釣りをしたい場合はどうすればいいのか見ていきましょう。
キャッチアンドリリースをしよう
お盆の期間は「不殺生戒」で、故意に生き物を殺してはいけないとされています。お盆にどうしても釣りをしたい場合は、キャッチアンドリリースをしましょう。
キャッチアンドリリースは、釣った魚をそのまま返すという方法です。これなら、生き物を殺していないため「不殺生戒」にも引っかからず、お盆でも釣りを楽しむことができます。
お盆期間中に釣りやすい魚
お盆の期間中に釣りやすい魚は、海釣りであれば暑い時期でも良く釣れるアジやスズキ、根魚といわれるカサゴやハタ類などです。大型も狙える魚種として、ヒラメやマゴチなどもとなっています。
川や渓流ならば、アユやマスなどがあげられますが、アブラハヤやナマズも狙い目です。
お盆中の釣りは控えた方が無難
お盆中にどうしても釣りをしたいならば、キャッチアンドリリースをしますが、海難事故が起こりやすかったり、クラゲが毒を持ったりとお盆はなにかと危険が多い時期です。
霊が集まりやすいとか、引きずり込まれるとか考えながら釣りをしても楽しめません。やむを得ない事情がない限りは、お盆中の釣りは控えたほうが無難です。