末期の水に関する基礎知識|込められた意味や手順などを紹介

身近な人が亡くなってしまうというのはとても悲しいことです。

しかしいつまでも悲しんでばかりはいられません。お別れの準備はすぐに始まります。ここでは故人とのお別れの準備で最初に行う儀式「末期の水」についてまとめました。意味や手順を学んでいきましょう。

目次

末期の水とは

末期の水(まつごのみず)は、お葬式における最初の儀式で、臨終に立ち会った全員が故人の口に水を含ませることをいいます。「死に水をとる」ともいわれるこの儀式には、どんな意味があるのでしょうか。また突如訪れる悲しい別れの際に心を込めて行えるよう、意味や手順について知識を深めておきましょう。

末期の水の意義と目的

身近な人が亡くなってしまうのはとても悲しくつらいことです。しかし亡くなった人との最後のお別れである通夜、告別式といったことに向けてすぐに準備を始めなくてはなりません。

末期の水は、葬儀に向けての準備の中でも一番はじめに行われる儀式です。亡くなったという事実と向き合い受け止め、考える大切な儀式です。

末期の水に関する基礎知識4つ

末期の水は日本のお葬式では昔から行われている儀式ですが、その意味や具体的な手順など知らない方も多いのではないでしょうか。突然の別れで悲しみのなか、落ち着いて作法の確認をするのはなかなか難しいのではないでしょうか。

ここでは、末期の水の意味や作法、注意点など基礎知識についてご紹介します。故人の安らかな旅立ちを心をこめて祈ることができるるよう、あらかじめ基礎知識を入れておきましょう。

1:末期の水の由来

末期の水の由来は諸説唱えられています。一番有力とされている由来が、仏教の経典「長阿含経」に記されている話を基にした説です。

お釈迦様が亡くなる直前に喉の渇きを訴え弟子に水を持ってきてほしいと頼み、信心深い鬼神がそれを捧げたことにより、お釈迦様は安らかに入滅できたという逸話です。

亡くなる直前は喉が乾くと考えられ、喉の渇きを潤して安らかに旅立って欲しいという残された者の想いが込められた儀式です。

2:なぜ水を口に含ませるのか

仏教ではお釈迦様の入滅の逸話から、死者の喉の渇きを癒すことで故人が安らか旅立てると考えられています。死に行く者に喉を潤して楽に旅立ってほしいという残された者の想いや、生き返ってほしいという最後の願いが末期の水にこめられるようになりました。

また、仏教ではあの世では食事や水を飲むことができなくなると考えられているため、水を飲ませて渇きを潤してからから冥土に送るという意味もあります。

3:末期の水に込められた意味

末期の水に込められる意味については、いくつかの考えがあります。 ここでは大きな2つの意味を学んでいきましょう。

現在は臨終を告げられた後に行われる儀式ですが、昔は臨終の間際に行われていたとされています。喉の渇きをとり潤した状態で、安らかに旅立ってほしいとの想いが込められていたとされています。

また、生きていく上で欠かせない水分を補うことで、生き返ってほしいという願いが込められていたという説もあります。

4:末期の水の手順

昔は臨終を迎えるとすぐに行われていた末期の水の儀式ですが、今は息を引き取ったあと病院や自宅に戻られてから行うものへと変化しています。地域、地方、宗派によってそれぞれ異なる方法で行われる場合もあります。浄土真宗、そしてキリスト教では省略されたり、行われることがない場合もあります。

ここでは一般的な末期の水の手順を学びましょう。

末期の水を行う場所

末期の水を行う場所は、死亡宣告を受けた直後に病院で行われるか、もしくは故人が自宅に帰った後に行われる場合が多いです。故人の身体を拭き清める「清拭」や死化粧の前に行われる儀式です。

末期の水を病院で行う場合は病院が準備をしてくれることがあります。また葬儀会社が葬祭用品として末期の水セットを用意してくれる場合もあるので、道具の用意は病院や葬儀会社に確認しましょう。

末期の水をとる順番

順番は基本的には故人との血縁の濃い順で行ないます。まず一番に喪主や配偶者からはじめ、故人の子供、両親、兄弟姉妹、故人の子供の配偶者、孫の順とするのが一般的です。 小さな子どもは無理に末期の水を行う必要はありません。末期の水を行う際は、自分の順番を確認しておきましょう。

また最近では故人が自宅や葬儀場に帰り近しい人たちが末期の水を終えた後は、訪れてくれた人たちが到着した順番に末期の水を行う場合もあります。

末期の水の具体的作法

箸先にガーゼや脱脂綿をくくりつけたものを用意します。桶やお椀に入った水に箸先の脱脂綿をつけて湿らせます。脱脂綿を故人の唇に当て、上唇から下唇の順番で唇の左から右へなぞるように優しく当てて水分を含ませてあげます。

最後に故人の顔とおでこ、鼻、顎の順番に拭きます。おでこを左から右へ、鼻を上から下へ、顎を左から右へ拭いていくのが一般的な作法です。

末期の水を行う際の心構え4つ

大切な家族との別れに気持ちの整理がつかず、どのような気持ちで末期の水を取り行えばよいかかわからない方がほとんどではないでしょうか。

末期の水は故人とのお別れの準備をする最初の儀式です。故人の安らかな旅立ちを願えるよう、気持ちを強く持つことが大切です。末期の水を行う際の心構えについて考えてみましょう。

1:祖父母

今まで自分を可愛がってくれた祖父母とのお別れは辛いものになります。今までの祖父母との思い出を思い返し、可愛がってくれてありがとうという気持ちを込めて末期の水を行いましょう。

また、安らかに旅立ってほしいという思いもたくさん込めてあげましょう。きっとこれからもずっと、天国からあなたを見守り支えてくれる存在になることでしょう。

2:両親

自分を生み育て上げてくれた両親との別れはとても辛いものでしょう。まだまだこれからも一緒に居たかったという悔しい、寂しい思いと、育ててくれてありがとうという感謝の思いをたくさん込めて末期の水を行いましょう。

また、亡くなったご両親は残した者を案じていることでしょう。心配いらないよ、頑張るよという決意もこの時にご両親に伝えてあげましょう。

3:配偶者

長年連れ添ってきた配偶者とのお別れです。悲しさは想像をはるかに超えるものになります。今まで一緒に過ごしてきた時間がたくさん思い返されることでしょう。

楽しい時、辛い時を共に支え合い生きてきたことへの感謝の気持ちと、安らかに旅立って欲しいという思いをたくさん込めて、末期の水を行いましょう。故人は残してしまったあなたのことをとても案じているはずです。頑張るよ、という気持ちも込めて安心させてあげましょう。

4:親戚

お世話になった親戚の方とのお別れです。お世話になった感謝や可愛がってもらったお礼の気持ちを込めて末期の水を行いましょう。

また故人は残した者を案じていることでしょう。できる限りで周りを支えていくから心配しないでね、安らかに旅立ってねと故人が安心して旅立てるような気持ちも込めてあげましょう。

末期の水に関する基礎知識を理解しましょう

末期の水は故人との最後のお別れの儀式の始まりであり、安らかに旅立てるようにと願いを込めて行われます。また見送る側の家族が突然訪れた故人の死と向き合い、受け入れるための最初の儀式ともいえるでしょう。

あまり馴染みがない方が多いでしょうが、意味や手順を理解していると身近な方が亡くなった時に気持ちを強く持てるでしょう。いざという時にスムーズに執り行ない、故人の生前の労をねぎらい心をこめて行いましょう。

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