人が亡くなるとお墓を建てるのは一般的ですが、墓碑という言葉をご存知ですか。
実は、墓碑はお墓に欠かせないものの1つです。今回は、墓碑に関する基礎知識や墓碑を建てる手順を説明していきます。墓碑についての知識を身につけ、正しく理解しましょう。
墓碑とは
墓石は聞いたことがあるけれど、墓碑は知らないという人も多いのではないでしょうか。しかし、墓碑はお墓に欠かせないものの1つです。これからお墓を建てる人は、墓碑についての知識を身につける必要があります。
今回は、墓碑に関する基礎知識4つや墓碑を建てる際の手順4つを紹介していきます。まずは以下で、墓碑の意義と目的、暮石・墓誌との違いについて見てみましょう。
墓碑の意義と目的
墓碑とは、一般的に「◯◯家」などと書かれたお墓の石のことを言います。つまり、自分の家のお墓を示す石のことです。墓碑があることで他の家のお墓との区別をつけることができます。
このように自分の家のお墓とわかるようにしていることのほか、参拝する対象である石塔でもあります。参拝者は「◯◯家」と書かれた石に向かってお参りをします。
墓石・墓誌との違い
上記で説明したように、お墓参りは墓碑に向かってするものということがわかったでしょう。しかし、墓碑を暮石と考えていた人も多いのではないでしょうか。実は墓碑と暮石はほぼ同じで、お墓の一部を指します。
ただし、墓碑は文字が刻まれた石、暮石は墓地にある石全てを指します。また、墓誌はそのお墓に埋葬された人の名前などが書かれた石板のことを言います。このように、墓碑、暮石、墓誌は似ているようで異なる石です。
墓碑に関する基礎知識4つ
ここからは、墓碑に関する基礎知識4つを紹介していきます。墓碑は「◯◯家」などと書かれた石ということを説明しました。ほかにも、「◯◯家之墓」と書かれていたり、名前が書いてあったりする場合もあります。
このようにさまざまな墓碑がありますが、どのような種類があるのでしょうか。以下では、墓碑の種類のほか、墓碑の語源と由来、刻まれる項目などを説明しています。ぜひチェックして墓碑についての知識を深めましょう。
1:墓碑の語源・由来
墓碑に関する基礎知識の1つ目は、墓碑の語源・由来についてです。墓碑の「碑」はいしぶみです。いしぶみとは、石面に文字を彫り、記念に立てたもののことです。墓の語源は諸説ありますが、「果処(はてか)」の略または「遥か(はるか)」からきているという説があります。
また、墓の漢字は死者に土を被せ、見えなくするという意味があるとされています。一般的に墓碑が造られるようになったのは、江戸時代以降と言われています。
2:墓碑の種類
墓碑に関する基礎知識の2つ目は、墓碑の種類についてです。墓碑に使われる石はほとんどが御影石ですが、ほかにも閃緑岩や斑レイ岩、安山岩などがあります。また、石材の色や成分、採掘された土地によって呼び方がさまざまで、300種類以上あると言われています。
代表的なものは、香川県の庵治石、愛媛県の大島石などですが、海外産のものでも上質な石があります。墓碑の色は定番のグレーや黒のほか、赤系や白系もあります。
3:墓碑に刻まれる事項
墓碑に関する基礎知識の3つ目は、墓碑に刻まれる事項についてです。墓碑には誰のお墓なのかがわかるように文字を刻みますが、お墓によって刻まれている文字は異なります。
一般的に、戒名や俗名、没年月日などを記しますが、他にもさまざまな文字を刻みます。以下では、墓碑に刻む事項を種類ごとにまとめてみました。これからお墓を建てる人は、ぜひチェックして参考にしてみてください。
1:戒名・俗名
墓碑に刻まれる事項の1つ目は、戒名・俗名です。お墓と言えば「◯◯家之墓」や「先祖代々之墓」などが定番でした。しかし、現代は子供がいない家庭やお墓を継いでもらえない事情があるケースも増えてきています。そのため、一人用や夫婦だけのお墓にする場合も多いです。
そのため、戒名や俗名を彫刻するのが一般的になってきました。一人の場合は個人名や戒名を、夫婦なら左右に並べて名前や戒名を入れることができます。
2:享年・没年月日
墓碑に刻まれる事項の2つ目は、享年・没年月日です。享年とは亡くなったときの年齢、没年月日は亡くなった日付のことです。享年によく似た言葉で行年がありますが2つは似て非なるものなので注意が必要です。
享年でも行年でも生まれた年を1歳とし、新しい年を迎えたら1つ歳をとります。そのため、日常的に使用している満年齢の数え方とは異なります。表記の例は「享年85」「行年85歳」のようにするのが正しい書き方です。
3:略歴
墓碑に刻まれる事項の3つ目は、略歴です。故人の歩んできた人生を刻んでおきたい場合は、略歴を入れることもあります。略歴の書き方に特に決まりはありませんが、長い文章ではなく、簡潔にまとめる必要があるのがポイントです。
限りあるスペースに刻むため、文章をまとめておくことが大切です。原稿を作り、石材店などと相談しながら文章を組み立ててみてください。
4:印象的な言葉
墓碑に刻まれる事項の4つ目は、印象的な言葉です。従来のお墓は「◯◯家」などを入れるのが一般的でした。
しかし、この先お墓を維持できないという事情もあるため、好きな言葉を入れる人も増えてきました。最近では、名前ではなく好きな言葉を入れておくという選択肢もあります。
例えば、「ありがとう」「感謝」のほか、「一期一会」などの四字熟語も使われます。また、「和」「心」などの1文字でも構いません。
5:その他
墓碑に刻まれる事項の5つ目は、絵柄です。故人が安らかに眠れるように、好きだった絵柄を彫ってもらうのも良いでしょう。最近では文字と絵柄を合わせてデザインするのもがあります。
絵はお花などを選ぶ人が多いですが、故人が好きだった物やペットの絵柄を入れることもできます。お花なら桜やスミレ、バラなどが一般的です。また、具体的な物でなくても、模様をデザインして彫ってもらい、好きな文字を入れるのも可能です。
4:墓碑の相場
墓碑に関する基礎知識の4つ目は、墓碑の相場についてです。お墓を建てるにはそれなりの金額がかかることはよく知られていますが、具体的にどれくらいのお金が必要なのでしょうか。お墓は墓石や彫刻の代金のほか、寺院や霊園に支払うお金も必要です。
具体的には、墓石と彫刻で150万円、永代使用料や管理費で20万円から30万円ほどが相場です。もともとあるお墓に名前を加えたり、戒名をもらったりする料金は別途かかります。
墓碑を建てる際の手順4つ
ここからは、墓碑を建てる際の手順4つを紹介していきます。墓碑の意味や種類、彫刻についてはわかったけれど、実際に建てるには具体的にどのようにすれば良いか悩んでいるという人も多いでしょう。
以下では、墓碑を建てるに当たって踏むべき手順を示しました。では、順を追って説明しますので、ぜひ確認してみてください。
1:宗派を確認する
墓碑を建てる際の手順の1つ目は、宗派を確認することです。墓碑は、故人の宗教、宗派に合わせて建てるのが基本です。しかし、宗派によっては受け入れてもらえない霊園もあるため、まずは宗派の確認が第一です。
最近では自分の宗派がわからないという人も多いですが、親戚に確認したり、先祖の墓や位牌などでも確認ができます。
2:霊園を決める
墓碑を建てる際の手順の2つ目は、霊園を決めることです。宗派がわかったらお墓を建てる場所を決めましょう。お墓は、寺院墓地や地方自治体や民間企業が管理する霊園に建てるのが一般的です。
地域によっては霊園の数が少ないこともありますが、できるだけお参りしやすい場所がです。駅からのアクセスがしやすい、バスやタクシーが使えるなど、行きやすい場所にしましょう。
3:継承するか否かを決める
墓碑を建てる際の手順の3つ目は、継承するか否かを決めることです。お墓は一代限りのものと継承できるものがあり、それぞれ契約条件や価格が異なります。継承できるお墓は200万円から250万円ほど、一代限りのお墓は70万円から150万円が相場です。
今後も管理できる家族がいる場合は継承できるお墓が経済的ですが、そうでない場合は一台限りのお墓にすると良いでしょう。
4:石材店に依頼する
墓碑を建てる際の手順の4つ目は、石材店に依頼することです。お墓を建てる場所、継承するか否かが決まったら、石材店に依頼しましょう。
石材店は、墓石の販売のほか、設置もしてくれることが多いです。石材店によって予算も異なるため、いくつかの石材店に足を運び、比べてみることをします。
墓碑の意味について正しく理解しましょう
今回は、墓碑に関する基礎知識4つや墓碑を建てる際の手順4つを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。墓碑は戒名や享年などを入れる墓石のことです。
墓碑を建てるとなるとさまざまな不安がありますが、家族と話し合い、手順を踏めば納得のいくお墓にすることができるのではないでしょうか。紹介したことを踏まえ、墓碑の意味について正しく理解しましょう。