服喪中の期間は、忌中の期間である49日より長く一般的には1年程度になっています。
忌中は故人をあの世にお送りするための期間であり制限が多いのですが、服喪中の期間は故人をしのぶ期間ですので、祝い事についてもかなり当事者間の話し合いで自由になってきています。
服喪中とは
服喪中の期間は、親族が亡くなったことによって喪に服している期間のことです。期間からいうと服喪中と喪中は同じになります。亡くなった直後は死のけがれが重く忌中で、忌中を過ぎてからの時期が喪中になります。
服喪中の期間については、戦後に廃止された明治7年の太政官布告の「服忌令」に定めがありました。現在は法令での定めは無く、遺族の判断に任されていて一般的には亡くなってから1年間を指しています。
喪中との違い
服喪中は、人が喪に服しているという意味で、人が主体的な行為によりその状態にいることを表わしています。そして、喪中は喪の期間であるという意味で、同じ状態であっても客観的事実のことを表しています。
微妙な違いですが、服喪中と喪中は基本的に同じ意味であるので、事実上、使い分けはほとんどされていません。喪中は家族や近い親族が亡くなったとき、遺族が故人を偲んで遊行や、お祝い事を慎む期間のことになります。
忌中との違い
忌中は家族に死者があって忌(いみ)に服している期間で、死後の四十九日間のことです。忌中の間も遺族は亡くなった故人を偲び慶事や祝い事を避けますから、基本的に喪中と大きな違いはないと言えます。
ただ、喪中は故人を偲ぶことが重点となる期間ですが、忌中の方は穢れを避ける意味合いが強く、慶事や祝い事について自ら行うことだけでなく、他の方の行事への参加も避けなければならない点で、より厳しい制限をする期間です。
いつからいつまでが服喪中?
一般的には、忌中は四十九日の法要までですが、服喪中の期間はおおむね1年先の一周忌までとされています。喪中の期間については明治時代の法律を参考にして、13ヶ月としている場合もあります。
1年が喪中ということは、その間に必ず年越しがあるために、故人が亡くなって最初の正月は喪中となることになります。ただ、故人との続柄によって喪中の範囲やその期間が変わりますが、一般的には2親等までが喪中となっています。
服喪中に気を付けること
服喪中に気を付けることとしては、服喪中に避けた方がよいことがあります。主な服喪中に避けるべきこととして、慶事や祝い事である結婚式や入籍などの祝い事を控えます。そして新年のあいさつも控えることになります。
さらに、関係が深い親族が亡くなったときには、結婚式への出席も控えることをします。ただ相手方の受け止め方への配慮が必要ですので、相手方と話し合って理解を得たうえで対応を決めた方がよいです。
服喪中のお正月の注意点
服喪中のお正月の注意点としては、ほとんどすべての方が知っているとおり、自分が服喪中の時は年賀欠礼といい、新年の挨拶を避けるのが礼儀になっています。亡くなった親族との関係に従って、服喪中の時期に当たる場合は年賀状を出さないのが日本では常識といえます。
そして、毎年年賀状のやり取りをしている相手には、喪中はがきを事前に送って、喪中であるために年賀状を送れないことを伝えるのが一般的になっています。
1:新年のあいさつ
年賀状と同じく年始の挨拶まわりは取りやめることになります。ここで問題なのが、自身が喪中の場合に新年の仕事場での同僚や上司他への挨拶です。新年の挨拶でも「おめでとうございます」としたお祝いの言葉は使わないようにするのが一般的です。
「おはようございます」として、お祝いの言葉を避けたうえで、「昨年はお世話になりました。本年もよろしくお願いします」として、あくまでも新年を迎えた返事をするのがです。
2:新年のお祝い
新年のお祝いである初詣をすることも、服喪中は一般的には避けた方が良いとされています。初詣に限らず五十日祭が終わって、忌明けになるまでは、鳥居をくぐること自体を避けたほうがいいとされています。
しかし、お寺へ初詣する場合には、神社へ初詣するのと異なってきます。お寺の方は、お正月には故人や先祖への新年の挨拶をするという考え方を取るために、服喪中でもお参りは問題ないとされています。
3:お年玉
服喪中のお正月のお年玉は、遺族の悲しみが深いときは心中を気遣い、お年賀に関することはすべて控えたほうがよいとされています。そのため、お年玉の表書きを「お小遣い」にするなどの気遣いも行われています。
お年玉は子供にとって一大イベントで、歳のいかない子供には服喪中ということ自体を理解できないです。そこで「あけましておめでとう」とした祝い文が書いていない袋を使い、静かに渡すようにするのがです。
4:おせち料理
おせち料理の本来の意味は、季節の変わり目をお祝いする節日の料理という意味でしたが、最近はお正月を祝う料理をおせち料理というようになっています。
新年を祝福するお祝いの料理としての意味を持っていて、おせちに料理に含まれるエビや鯛は、めでたいものを意味して使われています。
服喪中にお祝い事はふさわしくないので、おせち料理を食べお屠蘇を飲んだりすることは控えて、普段と同じ料理を食べた方が良いといえます。
5:神社への参拝
神社への参拝は穢れが問題で、神社への参拝をする場合は50日祭までは忌中として死は穢れとなります。この間の参拝は避けますが、50日祭を終えた忌明け後ならば、服喪中であっても参拝して問題ないといえます。
忌中の初詣は避けるのが基本ですが、七五三などの時期の決まっているものに関しては、やむを得ないこととなっています。神社に相談したうえで行う場合には親戚などにやむを得ない事情を伝えることをします。
服喪中のお中元・お歳暮の注意点
服喪中のお中元・お歳暮の注意点ですが、贈答品は季節の挨拶の一つとなっていて、お祝い事にはあたりませんので気にする必要はありませんが、こちらも忌中を避けるのが無難とされています。
先方が服喪中の場合のお歳暮では、先方が服喪中であっても贈っても差し支えないのですが、生ぐさいものや華やかな花は避けて、慰めのメッセージを同封する心配りが必要です。そして、忌中の四十九日までは差し控え、忌明け後に贈ります。
6:お中元やお歳暮のやりとり
お中元やお歳暮のやりとりの実際ですが、服喪中のお歳暮については、心配りをしたうえで通年とおりのやり取りをして構いません。自分が喪に服している場合にそうでない相手の方に贈る場合、または一般の方から喪中の方に贈る場合のどちらにも大きな問題はありません。
慶事やお祝い事ではなく、特に現在は目上の方への感謝の気持ちを表す季節の挨拶となっていますので、喪中であってもお歳暮の贈答は差し支えないとされています。
7:香典返しとかぶらないように
お中元やお歳暮のやりとりで、服喪中にやや注意が必要なのが、典返しとかぶらないように注意することです。特に香典返しを贈る時期とかぶっていた場合となります。
お中元やお歳暮は忌中・喪中などの服喪中の期間とは関係がありません。しかし、受け取る側が混乱しないためにも忌明けに香典返しを贈り、その後にあらためてお中元やお歳暮を贈るようにするのがです。できればにおいの強い品は避け地味な包装にします。
8:水引の選び方
お中元やお歳暮を贈る場合の注意点の一つが、贈る際の熨斗(のし)です。お中元やお歳暮を通信販売やデパート他を通して発送する場合には、紅白の水引と熨斗を掛けた包装をしてくれます。
そのため服喪中にはふさわしくないと思うときは、白字や無地の包装に変更してもらうと良いですし、紅白の水引は避けた方が良いです。表書きには暑中御見舞や寒中御見舞として、シンプルな短冊の熨斗、または白無地の熨斗にしてもらいます。
服喪中の季節の挨拶状の注意点
季節の挨拶状として寒中見舞いがあり、お正月に近い一年で最も寒い時期にお見舞いするために送る季節の挨拶状です。寒さをいたわる言葉を書き、先方の安否をたずねる他、無事や健康を祈る言葉を添えて書きます。
寒中見舞いには他に用途があり、季節の挨拶状としての用途以外に、相手が喪中の時に年始のご挨拶を兼ねて出すこともできます。他に相手が喪中と知らずに年賀状を出してしまった場合のお詫びを兼ねて出すこともあります。
9:暑中見舞いや残暑見舞いのやりとり
喪中の場合でも、年賀状と違い暑中見舞いや残暑見舞いは出しても大丈夫です。年賀状がお祝いの書状なのに対して、暑中見舞いや残暑見舞いは相手の体を気遣う便りであるので、喪中は関係ありません。
そういった理由から暑中見舞いや残暑見舞いは送っても問題ないのですが、故人との関係で亡くなったことをお知らせしておいたほうが良いのではないか、という方は送るべきかどうかを悩むならば、送っておいたほうが良いといえます。
10:寒中見舞いのやりとり
服務中は年賀状に替えて寒中見舞いとしますが、この場合は正式には「年賀欠礼状」と言う名前になります。自分が喪中であることを知らせるためのはがきではなくて、正しくは喪中なので新年を喜ぶ挨拶を控えることを詫びるためのもとなります。
喪中に関わる寒中見舞いの場合には、句読点は入れない、行頭の一字下げはしない、数字は漢数字で表記するとされています。句読点については入れても良いという意見があります。
服喪中の結婚式の注意点
服喪中の結婚式の注意点としては、忌中も服喪中もお祝い事を避ける時期となっていますので本来結婚式を挙げるのは避けるべきです。
ただし、やや厳密である忌中やできるだけ避けたほうが良い服喪中であっても、やむを得ないときは結婚式を挙げることがあります。
結婚式場の予約キャンセルに費用負担が発生してしまう場合はそのまま行うこともあり、個人がその結婚式を楽しみにしていた場合には供養として行うこともあります。
11:挙式
結婚式の中心ともいえる挙式は、服喪中は避けるのが賢明ですがやむを得ぬ事情で行うことがあります。その場合には、自分の親戚および結婚する相手の家の考えを聞いて、話し合いをして決めることが必要です。
自分たちの考えだけで挙式をしてしまうのはよろしくありません。しかし、挙式を予定どおり挙げた方の理由として、招待客に迷惑がかかることや、改めて延期により招待客の都合をつけることが難しいなどがあります。
12:結婚式への参列
結婚式に招待される場合に、服喪中に参列しても良いかについてですが、本来は13ヶ月の服喪中にはお祝い事の席は遠慮するのが望ましくなっています。
ただし、すでに日程が差し迫った結婚式の場合や、会社関係の方の結婚式の場合は欠席が難しいことがあります。その場合は、相手方の新郎新婦がお気にされないようでしたら、少なくとも四十九日の忌明けを済ませていれば、先方とのご相談で出席を決めても構いません。
服喪中の遊興の注意点
服喪中の遊興の注意点は、忌中は亡くなられた方がこちらの世界にとどまっていらっしゃる期間ですから、楽しいことを行わないようにして、故人がこの世に未練なく旅立てるようにするために避けます。
服喪中になればあの世に行かれた故人を忍ぶ期間になりますので、お祝い事は自粛しますがお祭りの参加や日帰り旅行程度は問題ないとされています。ただ、宗教、宗派によって違いがあるので、お寺さんなどに確認したほうが良いです。
13:旅行
昔は忌中や服喪中の期間は慶事を避け、亡くなった方の死をいたみ旅行はしませんでした。しかし、戦後は法律がなくなり、具体的な忌中や喪中の範囲や期間が決められていません。
ただ、旅行は遊興であるとして、忌中や服喪中に遊びの旅行に行くのは不謹慎だと考える方もいます。しかし、あまりに亡くなった方のことばかりを考えずに、今生きている人が元気に生きていくことのほうが大事ですので、多少の旅行は許される範囲です。
喪中はがきの出し方
服喪期間は1年なので必ず服喪中の期間内に新年を迎えることになります。その場合には、年賀欠礼状(喪中はがき)を出して、服喪中のため新年の挨拶を控えるとしたお詫びを伝えることになります。
喪中はがきの種類には、私製はがきと官製はがきがありますが、私製のはがきには切手を貼る必要があり、切手は通常の切手を使わず「葦に流水模の慶弔用」の切手を用います。官製の喪中はがきには胡蝶蘭の切手があしらわれています。
喪中はがきを出す相手
まず自分が服喪中である範囲か確認しますが、基本的に二親等までになっています。そして、喪中はがきを出す相手は故人が年賀状をやり取りしている相手に出すのが一般的です。
しかし、喪中であることを伝える必要のない相手、そしてもう知っているはずの身内には出さない場合が多くなっています。一方で、配偶者の親族である婚族での喪中はがきについては、公私を分けて仕事先他には例年とおりに年賀状を出す人が増えています。
喪中はがきを出す時期
服務中は年賀状に替えて「年賀欠礼状」として喪中はがきを出しますが、これは喪中なので新年の挨拶を控えるのをお詫びする連絡です。そのため、喪中はがきを出す時期は、相手が年賀状を用意する前の11月中か遅くとも12月初旬までには届くように出します。
年賀状を交換している相手が喪中と知らずに年賀状を出してしまうことがあるので、相手が年賀状の用意を始めるよりも早めに届くようにすることが必要です。
喪中はがきの内容
喪中はがきの書き方は、簡単に年賀欠礼のお詫びをして、故人の情報を伝え、生前のお付き合いへの感謝と今後のお付き合いのお願いをするのが要点になります。
書き出しで喪中のため新年の挨拶ができないことをお詫びし、誰がいつ他界したのかという情報を書きます。詳しいことは省いてもいいですが、故人と自分の関係、亡くなった月と個人の年齢は書くことが望ましく、故人が生前お世話になったことに対する感謝の文を加えます。
服喪中に気を付けることを知っておこう
服喪中は一般的には祝い事や慶事を控えることになっていて、年始のあいさつや結婚式などがこれに当たります。しかし、最近は忌のあけた後は比較的制限しない傾向にあります。
特に昔は楽しいことをしないとしていて、遊行に当たる旅行他はしていませんでしたが長期でない旅行については行うようになっています。祝い事の結婚式についても、関係者が納得できればキャンセルもせずそのまま行う場合もあります。